共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
積雪構造の定量化に関する研究 |
新規・継続の別 | 継続(平成17年度から) |
研究代表者/所属 | 新潟大学災害復興科学センター |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 和泉薫 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
河島克久 | 新潟大学災害復興科学センター | 准教授 |
2 |
荒川逸人 | 新潟大学院/野外科学((株)) | 課長 |
3 |
石井吉之 | 北大低温研 |
研究目的 | 雪質とは積雪構造に付けられる分類名であるが、定量的な評価方法がないのが現状である。本研究では、積雪構造を固有透過度と比表面積を使って雪質を定量的に分類することを目的とする。これまで、代表的な雪質(新雪、こしまり雪、しまり雪、ざらめ雪、こしもざらめ雪、しもざらめ雪)の測定を実施しており、雪質の分類が可能であることがわかってきている。今年度はこれを詳細に解析し微細構造の立場から定量的な分類方法をおこなった。 |
研究内容・成果 | これまでの成果で、固有透過度と比表面積の散布図(巨視的な雪質分類図)を作成すると、雪質が区分できることがわかってきたが、雪質を区分した線の物理的意味が不明であった。そこで、これを微細構造の立場から詳細に解析した。微細構造の解析は、Run-Length法を使った。この画像解析方法によって求めた平均粒径Dgと実測による積雪密度ρを利用すると、体積比表面積SSAVや固有透過度kは、それぞれSSAV=SSAV(Dg,ρ)、k=k(Dg,ρ)といった関係式が得られた。また、Run-Length法による平均粒径Dgと平均間隙幅dpの比、Dg/dpは間隙比の逆数einvに相当することがわかった。ずなわち、Dg/dp=einvである。これら3つの関係式を使って巨視的な雪質分類図に等粒径線、等間隙幅線、間隙比の逆数の等値線を描き込むと、巨視的な雪質分類図における雪質の区分線は、微視的な意味を持つことが可能となり(図)、以下のような結果を得ることができた。 1. 等温変態過程 Dg<0.09 mm ∪ dp<0.34 mm 1) 新雪,こしまり雪 Dg<0.09 mm ∩ dp≧0.34 mm 2) しまり雪 dp≦0.34 mm 2. 温度勾配変態過程 Dg≧0.09 mm ∩ dp≧0.34 mm ∩ einv≦0.3 1) こしもざらめ雪 0.09≦Dg<0.16 mm ∩ dp≧0.34 mm ∩ einv≦0.3 2) しもざらめ雪 Dg≧0.16 mm ∩ einv≦0.3 3. 融解凍結変態過程(ざらめ雪) dp>0.34 mm ∩ einv>0.3 この定量的な雪質分類は単なる雪質の区分だけでなく、時間的に積雪層を追っていけば、変態過程のによる比表面積、固有透過度といった巨視的な物理量の変化とともに、粒径や間隙幅といった微視的な物理量の変化も追うことが可能であると考えられる。 |
成果となる論文・学会発表等 |
荒川逸人・和泉薫・河島克久・河村俊行、2009:季節積雪における体積比表面積と微細構造との関係、雪氷、71(1)、3-12. Arakawa, H., Izumi, K. Kawashima, K. and Kawamura, T., 2009: Study on quantitative classification of seasonal snow using specific surface area and intrinsic permeability. Cold Regions Science and Technology, 59,163-168. 荒川逸人:季節積雪の微細構造を反映した雪質の定量的評価に関する研究、新潟大学学位論文、91pp 荒川逸人・和泉薫・河島克久・石井吉之:季節積雪における固有透過度と微細構造との関係、雪氷(投稿中). |