共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

 南極季節海氷の融解現象に関わる開水面の分布と特徴
新規・継続の別 新規
研究代表者／所属 鳥羽商船高等専門学校
研究代表者／職名 教授
研究代表者／氏名 石田邦光

研究分担者／氏名／所属／職名
　
氏　　名
所　　属
職　　名

1

 大島慶一郎 北大低温研 教授

2

 深町康 北大低温研 助教

3

 二橋創平 北大低温研 博士研究員

4

 田村岳史 北大低温研 博士研究員

研究目的 南極季節海氷の融解と海氷野の様々な海氷現象によって作り出される開水面がどのような相互関係にあるのかを調べ，季節海氷の融解過程に開水面の変動が果たしている役割を明らかにすることである。
　　
研究内容・成果 　南極の融解期において、氷縁から内部に向かって広がるアイスバンドは、開水面の形成を伴うことから季節海氷域の変動にとって重要な働きを持つと考えられる。そこで、これまでMOS・MESSR画像データを用いて解析を進めてきた南極季節海氷域におけるアイスバンドの諸特性について、大気場（ECMWFの風データ）との関係を統計的に解析した結果、次の知見を得た。アイスバンドの諸特性と風との間には高い相関があることがわかった。バンドスケールには、アイスバンドが観測された日の過去4日間における風の履歴（平均風速、最大風速）が強く影響していた。アイスバンドの長軸方向は、風向の右側70〜90度に偏しており、これも過去4日間における風の履歴が強く影響していた。また、バンドスケールは冬から夏にかけて減少しており、その原因は冬から夏にかけての氷盤スケールの減少と風速の減少が関係していることが示唆された。さらに、氷野内部から氷縁へ吹き出す風の状況下では、バンドスケールは氷野内部から氷縁に向かって減少していることも明らかになった。本研究の解析結果は、アイスバンド形成メカニズムの一つであるwave radiation theoryを支持するものであった。
　　
成果となる論文・学会発表等 Kunimitsu Ishida ， Kay I. Ohshima: Ice-Band Characteristics of Antarctic Seasonal Ice Zone Observed using MOS MESSR Images， Atmosphere-Ocean， 47(3)， 169-183， 2009