共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

雪氷の生態学(3) 雪氷界面における微生物代謝, アカシボ現象との関わり
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 国立環境研究所
研究代表者/職名 室長
研究代表者/氏名 野原精一

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

大高明史 弘前大学教育学部 教授

2

落合正宏 徳島文理大学工学部 教授

3

山本鎔子 元明治大学農学部 元教授

4

岡田久子 明治大学農学部 特別研究員

5

井上智美 国立環境研究所 研究員

6

菊地義昭 元茨城大学 元助教授

7

佐竹潔 国立環境研究所 主任研究員

8

森野 浩 茨城大学理学部 教授

9

福原晴夫 新潟大学教育人間科学部 教授

10

鳥居高明 いであ株式会社環境生態グループ 調査員

11

木村直哉 株式会社グリーンシグマ調査部 調査員

12

北村淳 株式会社グリーンシグマ調査部 調査員

13

福井学 北大低温研

14

小島久弥 北大低温研

研究集会開催期間 平成 20 年 11 月 6 日 〜 平成 20 年 11 月 7 日
研究目的 融雪期に、雪や氷の表面が赤,黄,時に黒く着色する現象は一般に彩雪現象と言われ、古くから日本を含む世界の積雪地域から知られてきた。そこで本集会で,積雪期におけるメタン発生、流氷のアイスアルジー、赤雪の藻類、尾瀬地域におけるアカシボ現象の概要、アカシボ現象の物質と水循環、アカシボ発生と鉄の酸化還元反応、東北地方の彩雪現象、アカシボの微生物生態学、南極赤雪現象の微生物生態学、アカシボ中のヒメミミズ科貧毛類など、雪氷研究者とアカシボ生物群集研究者との討論集会を行い、アカシボ発生のメカニズムと原因微生物についてさらに解明を進めるものである。
赤雪藻類の生活史 赤雪藻類の分類 アカシボの動物
研究内容・成果  彩雪の原因として,Clamydomonusなどの緑藻類があげられているが,細菌類やミミズ類,水生昆虫などの多様な生物も含み,独特の生態系であることが氷河に発生するアカユキで明らかになってきた。
 尾瀬ケ原・尾瀬沼ではアカユキの一種であるアカシボ現象が知られ、このアカシボ雪中にはこれまで知られていない藻類Hemitomaや細菌,ミミズ類,ユスリカ幼虫など多様な生物群集を含み,複雑な系をなすことを一昨年の本集会で明らかになった。特に分子生態学的手法や情報学的手法を用いた解析では,アカシボ微生物群集の主要なメンバーは氷河等の他の低温環境と共通することが示された。
 しかし、融雪時における融雪水の挙動や外部から流入する融雪水の積雪内の移動などが、アカシボの発生と密接にかかわると予想されるものの、依然として、融雪とアカシボ発生の関係、アカシボ原因生物の実体については未解明である。
 本研究集会では以下の内容について発表し、質疑応答を行い赤雪現象の総合的な解明を目指した。
・集会にあたって           野原精一(国立環境研究所)
・南極の赤雪現象           藤井正典(北海道大学)
・氷河生態系の雪氷藻類分析      瀬川高弘(国立極地研究所)
・雪氷界面における藻類        山本鎔子(元明治大学)
・アカシボの微生物           小島久弥 (北海道大学) 
・アカシボ現象と動物 福原晴夫 (新潟大学)
・尾瀬地域における雪氷の物質・水循環 野原精一 (国立環境研究所)
・アカシボ発生の化学  落合正宏(徳島文理大学)

 本集会により,融雪期の雪氷構造とアカシボ生物群集の相互関係の解明が期待され、雪氷の生態学の発展に寄与できること,生物群集については、新たな生物種の発見・記載が期待され、また低温環境への適応問題などの課題についても将来発展させうることなどの成果が期待される。

赤雪藻類の生活史 赤雪藻類の分類 アカシボの動物
研究集会参加人数 15 人