共同研究報告書
研究区分 | 研究集会 |
研究課題 |
環境史研究のための山岳アイスコア |
新規・継続の別 | 継続(平成19年度から) |
研究代表者/所属 | 名古屋大学環境学研究科 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 藤田耕史 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
竹内望 | 千葉大理学研究科 | 准教授 |
2 |
石田依子 | 千葉大理学研究科 | 修士課程1年 |
3 |
永塚尚子 | 千葉大理学研究科 | 修士課程1年 |
4 |
田中基樹 | 信州大学 | 研究員 |
5 |
植竹淳 | 極地研 | 研究員 |
6 |
Dylan Bodington | 東工大 | 修士課程1年 |
7 |
成田英器 | NPO法人雪氷ネットワーク | |
8 |
岡本祥子 | 名大環境学研究科 | 博士課程1年 |
9 |
的場澄人 | 北大低温研 | 助教 |
10 |
杉山慎 | 北大低温研 | 講師 |
11 |
佐々木央岳 | 北大低温研 | 博士課程1年 |
12 |
福田武博 | 北大低温研 | 修士課程1年 |
研究集会開催期間 | 平成 20 年 12 月 8 日 〜 平成 20 年 12 月 9 日 |
研究目的 | アイスコア研究は過去環境変動を復元する手段として,南極やグリーンランドといった極域を中心に行われてきたが,近年極域以外の低緯度地域の山岳氷河でも数多く掘削されるようになった.前年度に開催された研究集会にて,中央アジア乾燥域からカムチャツカ,アラスカにかけて取得された,多くの山岳アイスコアについての研究が紹介された.この中で,多点比較や年輪や固定堆積物などの他の気候プロキシとの相互比較が可能になりつつあるという共通認識が形成された.本研究集会ではこの共通認識をふまえた解析を進めた結果を持ち寄ることで,さらなる可能性について議論を深めることを目指す. |
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研究内容・成果 | 山岳氷河のアイスコア中に含まれる固体粒子の地域比較(石田)/アジアの氷河表面の不純物のSr, Nd同位体比(永塚)では、中国天山ウルムチNo.1氷河において採取された氷河上の不純物サンプルの解析に関する報告があった。 中国祁連山ドゥンデアイスコアの話(竹内)/ロシア・アルタイ山脈ベルーハ氷河アイスコアを用いた気温変動の再現(岡本)では先行研究における問題点の整理と最近取得されたアイスコアの特徴に関する紹介があった。 山岳アイスコア中の微生物濃度変化と環境指標としての可能性(植竹)では、日本における研究の特徴である生物指標に関するこれまでの研究と今後の展望についての紹介があった。 ひとつの山体における積雪中の化学成分と積雪水量の変動(田中)では、アイスコアの元となる積雪が、小さな空間スケールにおいても大きく偏在することの紹介があった。 中国・西崑崙崇測氷帽コアおける過去200年の涵養量変動復元と河川流出量(成田)/カムチャツカ・イチンスキーコアの話(的場)では、アイスコア本来の時系列気候データの復元についての報告があった。 グレゴリア氷河の底面年代時の気温復元:質量収支モデルからのアプローチ(藤田)では、質量収支の観測とモデルによる過去の気候復元に関する研究紹介があった。 ランゲルの鉄の話(佐々木)ではアイスコアに含まれる微量の鉄イオンから、鉄フラックスの復元を試みた研究の紹介があった。 アラスカ・オーロラピークにおける氷河流動測定・氷厚探査(福田)/氷河表面地形と年層形成の数値モデル(杉山)では、アイスコア掘削現場周辺の地形・流動調査の結果と数値モデルの応用例の紹介があった。 全体を通して、現在の日本グループにおけるアイスコア研究は、主にプロセス研究に重点が置かれており、アイスコア研究本来の目的でもある、気候の時系列データの提供については立ち後れていることが明らかになった。これは、大量の試料の分析システム(装置および人的資源)が整備されていないことが主な原因であり、この現状を如何に解決していくかが今後のアイスコア研究の発展への課題であることが認識された。 |
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研究集会参加人数 | 15 人 |