共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
サトイモ科植物が送粉者への報酬として分泌する新規物質の同定 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 長崎大学国際連携研究戦略本部 |
研究代表者/職名 | 産学官連携研究員 |
研究代表者/氏名 | 高野宏平 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
片桐千仭 | 北大低温研 | |
2 |
戸田正憲 | 北大低温研 |
研究目的 | クワズイモの雄花・中性花から分泌され、送粉者であるタロイモショウジョウバエが採餌している報酬物質をそれぞれ生化学的に分析・同定すること。 |
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研究内容・成果 | 【材料】沖縄で採集されたクワズイモの花とハエを生きたまま低温研に運搬した。ハエが花から取り込んだ物質を調べるために、ハエの消化管の一部を取り出し、その内容物を薄層クロマト板上に直接乗せ試料とした。比較のためにクワズイモの花を雄花部・中性花部など各部に分けた上で有機溶媒に浸漬・濾過したのち減圧蒸発器で濃縮した花各部の抽出液も準備した。 【分析方法】 薄層クロマト法を用いた。 【脂質の分析】消化管内容物を脂質用の展開溶媒で順次展開しながらヨウ素蒸気で染色したところ、十分な展開や染色は見られなかった。 【タンパクの分析】消化管内容物および植物抽出液を糖質用の展開溶媒で展開しアミノ酸の検出試薬で染色すると、ある程度分離したスポットとして発色した。これらのスポットは糖鎖の検出試薬では発色しない一方で、複数のアミノ酸の標準液と同じ泳動度・同じ発色を示すスポット群として構成されていた。このことから、今回検出されたスポットは、アミノ糖などではなくフリーのアミノ酸である可能性が高い。 【糖質の分析】一方、糖の検出試薬のみで発色するスポットも存在し、その中にはブドウ糖あるいはショ糖といった単純な糖類の標準液に近い泳動度を示すものがあった。 上記を通して、ハエの消化管内容物・雄花抽出液・中性花抽出液の展開・染色パターンは類似したものであり、著しい違いはなかった。 【考察】 今年度の共同研究により、タロイモショウジョウバエの消化管内容物とクワズイモの花抽出物を一次元の薄層クロマトグラフィーによって明瞭なバンドとして分離する方法が確立し、餌物質にはフリーのアミノ酸数種や単純な糖類が含まれていることが示唆された。幸い2009年度の低温研共同研究としても継続採択されたので、今後は二次元の薄層クロマトグラフィー・アミノ酸分析・HPLC・マススペクトロメトリーのいずれかによって餌を構成する物質群を同定する予定である。 |
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成果となる論文・学会発表等 |