共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
土壌凍結深観測装置(改良型)を用いた土壌凍結・融解プロセスの観測技術の確立 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 北海道立林業試験場 |
研究代表者/職名 | 研究職員 |
研究代表者/氏名 | 真坂一彦 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
鳥田宏行 | 北海道立林業試験場森林環境部防災林科 | 防災林科長 |
2 |
佐藤 創 | 北海道立林業試験場森林環境部 | 主任研究員 |
3 |
今 博計 | 北海道立林業試験場森林環境部防災林科 | 研究職員 |
4 |
曽根敏雄 | 北大低温研 |
研究目的 | 土壌凍結・融解プロセスの室内における観測方法について,技術的な知見は少ない。研究代表者らは,平成19年度に観測装置を作成して実験を試みたものの,装置自体の冷却による、土壌サンプルの側面、および下面からの冷却を捨象し切れていないおそれがあることが分かった。そのため、土壌の凍結・融解プロセスを正確に評価するためには、実験装置の側面、および下面の断熱効果を上げるための改良が必要とされる。そこで本研究では、平成19年度に作成した実験装置を改造し、実験装置の側面、および下面の断熱効果を上げて土壌凍結・融解プロセスの評価方法の高度化を図ることを目的とする。 |
研究内容・成果 | 1.調査方法 1)実験装置の改良 平成19年度に作成した実験装置の側面,および下面の断熱材の厚みを30cm増加させ,断熱材間の隙間を断熱シートによって充填した。さらに,土壌サンプル円筒(塩ビ管φ10cm×高さ55cm;※円筒の上部5cmは装置からはみ出す)と実験装置の隙間についても,断熱シートによって充填し,冷気の侵入を防護した。そして,装置下面からの冷却効果を検討するため,装置の中央部の実験室の床面から30cmの高さに温度センサー(おんどとりJr., T and D)を2台設置し,1時間ごとに温度を記録した。 2)土壌サンプル 平成19年度に用いた土壌と同様に,土壌凍結による寒干害発生地域である日高町豊郷の海岸林造成地において採取した,海岸未熟土(海浜砂)および客土2種類(火山灰土)を土壌サンプル円筒に入れ,地表面から10cmごとに温度センサー(おんどとりJr., T and D)を設置し,1時間ごとに温度を記録した。土壌サンプルは2反復とした。 3)冷却・加温処理 海浜砂,および火山灰土は,体積含水率にして0%,10%,そして20%に調整して3回に分けて冷却(-10℃),および加温処理(10℃)を行った。冷却時間は,土壌サンプル円筒の最深部(地表下50cm)の地温-時間曲線が-10℃付近でほぼ平衡状態になるまで行った。また,加温処理は,同様に土壌サンプル円筒の最深部(地表下50cm)の地温-時間曲線が10℃に達するまで行った。 2.結果と考察 1)床面からの冷却効果の排除状況 図-1に深度別地温プロファイルと装置内部の温度環境を示す。床面から30cm高の装置内の温度は,土壌サンプル円筒最深部の地温よりも74時間遅く0℃に達していたことから,今回の改良により,装置下面からの冷却効果はほとんど無視して差し支えないことが示唆された。 2)反復間の誤差状況 体積含水率が10%の場合と20%の場合におけるゼロ・カーテン*期間の長さを反復間で比較したところ(図-2),ほとんど誤差がないことが分かった。この結果から,装置の改良により,土壌の凍結・融解が地表面からのみの冷却・加温によるものとして評価できるようになったと考えられる。 *;凍結期および融解期における+0.5℃〜-0.5℃の範囲で長時間推移する現象。 |
成果となる論文・学会発表等 |