共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

惑星クレーター地形の粘性緩和
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北大理学研究院
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 倉本圭

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

杉田精司 東大新領域 准教授

2

山本哲生 北大低温研 教授

3

黒澤耕介 東大新領域 D3

4

福崎 翔 東大新領域 M1

研究目的 惑星クレーター地形の粘性緩和過程について氷天体と月を比較しながら明らかにする.クレーター粘性緩和は惑星・衛星の大規模地形を決定する重要な過程であるが,実験室スケールの単純な外挿では理解できない.月に関しては,わが国の探査機かぐやによる,裏側の衝突盆地の重力データをはじめとする新しいデータが,来年度から本格的にもたらされる.これらの新しいデータを加えて再検討を行い,クレーター地形の緩和過程を明らかにすることを試みる.
  
研究内容・成果 衝突実験を専門としかぐや運用にも参加する杉田が月について,氷天体の形成進化を専門とする倉本が氷天体について,巨大緩和クレーターの観測的性質を収集整理する.これに基づき連続体力学物性に詳しい山本と,既存のクレーター緩和の理解の問題点を整理検討する.天体の曲率効果や高応力下での非ニュートン的流動特性等に着目した作業仮説をたたき台とし,あたらしい粘性緩和モデルの構築を試みることが当初の計画であった.学会等の場における議論を行いつつ,研究を進める中で,水星と火星の内部構造と大規模クレーターの関連性にまで対象を広げた.

2008年12月12日、13日に北海道大学において杉田・倉本・黒崎・福崎と,倉本の学生1名および研究員1名があつまり互いの知見交換と議論を行った.

その結果、

1) 新しいクレーター粘性緩和モデルの構築に必要な粘弾性モデルの定式化

2) クレーター緩和に本質的に影響する惑星・衛星内部の熱状態の数値モデルによる推測

3) 実験にもとずく高速度衝突過程,特に融解・蒸発などの相変化過程の把握

4) かぐやによる月プレリミナリデータの解釈

を進めることができた.
  
成果となる論文・学会発表等 倉本 圭、月惑星科学にもたらす革新、日本地球惑星科学連合2008年大会、千葉、2008年5月

佐々木晶、生駒大洋、木村淳、岡田達明、長沼毅、山路敦、倉本 圭、栗田敬、藤本正樹、笠羽康正、木星探査(LAPLACE):衛星と起源、日本地球惑星科学連合2008年大会、千葉、2008年5月

岩堀智子、倉本 圭、水星熱進化の組成依存性:磁場および地形への影響、第41回月惑星シンポジウム、相模原、2008年8月