共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
節足動物の環境適応と脂質 |
新規・継続の別 | 継続(平成19年度から) |
研究代表者/所属 | 北大低温研 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 片桐千仭 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
木村勇司 | 青森県農林総合研究センター | 主任研究員 |
2 |
田中一裕 | 宮城学院女子大一般教育科 | 教授 |
3 |
森林敦子 | 国立感染症研究所昆虫医科学部 | 協力研究員 |
4 |
土田耕三 | 国立感染症研究所放射能管理室 | 室長 |
5 |
渡康彦 | 芦屋大学経営教育学部 | 教授 |
研究目的 | 変温動物である節足動物が温帯や寒帯域の冬のある環境に適応する様式を脂質に着目して探るのが本共同研究の目的である。対象とする動物は鱗翅目や双翅目などの昆虫類が主である。 |
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研究内容・成果 | 昆虫それぞれ、さまざまな冬越しの様式がある。成虫で越冬するもの、蛹、幼虫、卵で休眠に入り冬を越すものもいる。この昆虫の寒冷地適応様式を脂質の代謝・生理から解析した。 ハエ・カなどの双翅目昆虫の細胞膜はフォスファチジルエタノールアミンがその主要構成リン脂質である。短日条件で飼育するとその構成脂肪酸中にパルミトオレイン酸(C16:1)が増加した。フォスファチジルエタノールアミンが主要リン脂質であるハエの細胞膜はゲル-液晶転移だけでなく、液晶-ヘキサゴナルII転移をする。液晶相をとる温度領域が狭く、しかも高温側低温側のどちらかに偏っていると、冬期間にハエが曝される可能性のある温度範囲において細胞膜が液晶相を保てず、壊され、死に至る危険性がある。今回得たフォスファチジルエタノールアミンの構成脂肪酸中のパルミトオレイン酸の割合の増加はオレイン酸(C18:1)に比べ、液晶相をとる細胞膜の温度範囲を、氷点をほぼ中央に数十度に拡げている。つまり、冬期間の温度変化に十二分に対応しているのである。 また、ある種のガでは成虫の血液中にその存在が知られていたタンパク質が卵にも存在することが分かった。成虫において詳細に研究されたこのタンパク質の役割は、卵にはあり得ない現象であり、全く必要としないものである。現在、このタンパク質の卵における役割を調べている。 |
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成果となる論文・学会発表等 |