共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
低温でのフィブリノゲン分子の溶解挙動と赤血球集合の亢進に関する研究 |
新規・継続の別 | 継続(平成18年度から) |
研究代表者/所属 | 群馬大学大学院工学研究科 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 外山吉治 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
窪田健二 | 群馬大学工学部 | 教授 |
2 |
小暮広行 | 群馬大学工学部 | 教務員 |
3 |
増田有香 | 群馬大学工学部 | 博士後期課程 |
4 |
落合正則 | 北大低温研 |
研究目的 | フィブリノゲンは血液凝固及び赤血球集合の主要因子である。低温下で見られる血液のレオロジー的性質の特異な変化として、フィブリノゲンの不溶化による“クリオゲル”の形成や赤血球集合の亢進がある。低温で独立に観察されるこれらの現象は、ともにフィブリノゲンの溶存状態の変化に起因すると考えられる。本研究では低温で形成されるフィブリノゲンのクリオゲルのネットワーク構造を共焦点レーザー顕微で観察するとともに濁度測定よりネットワーク線維構造を調べた。また、水晶振動子マイクロバランス(QCM)用いて赤血球とフィブリノゲンの相互作用の測定を試みた。 |
研究内容・成果 | 実験 ブタ赤血球を生理的食塩水(PBS)で洗浄後、Ht 1.0%に再懸濁させた。ウシフィブリノゲンをPBSに最終濃度は2.0mg/mlになるように溶解した。測定温度は25±0.2℃で、測定には基本周波数9MHzのATカット水晶振動子を用いたQCM(セイコーEG&G社製, QCA-922)装置を使用した。振動子表面と赤血球、振動子表面に自己組織化単分子膜を形成させフィブリノゲンを固定化し、ブタ赤血球と相互作用を共振周波数(Δf )と共振抵抗(ΔR )の時間(t)変化を測定することにより解析した。 結果 図1にクリオゲルの共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。細い線維からなるゲルネットワーク構造が観察された。表1に濁度測定より得られたネットワーク線維とトロンビン作用によって形成されたフィブリン線維の形状を示す。両者は全く異なる条件下で形成されるゲルであるが、その構造が極めて類似していることが分った。 図2は表面にフィブリノゲンを固定化させた振動子に赤血球を添加したときの共振周波数変化と共振抵抗の経時変化を表したものである。フィブリノゲン添加後よりΔfは減少し、ΔRは増加していることから、振動子表面にフィブリノゲンが固定化されたことが分かる。次に、溶液内に残るフィブリノゲンを取り除くためにPBS洗浄し赤血球を添加した。ΔfとΔRはともに増加し、その後PBSで洗浄を行うと、それぞれの値は赤血球を添加する以前のレベルまで戻った。これらの結果からフィブリノゲンと赤血球の相互作用は比較的弱く、振動子の動きに赤血球が追随できずΔfとΔRがともに増加したものと考えられる。 |
成果となる論文・学会発表等 |
フィブリンゲル形成過程に及ぼす糖類の影響-トロンビンとレプチラーゼの比較-、増田有香、小暮広行、外山吉治、若松馨、窪田健二、落合正則、第56回高分子討論会、名古屋(名古屋工業大学)2007年9月20日 フィブリノゲンクライオゲル形成に与える糖類添加の影響、外山吉治、川島直子、増田有香、小暮広行、窪田健二、落合正則、第30回日本バイオレオロジ学会年会、札幌(北海道大学)2007年 6月14日 |