共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

雪氷変質に伴う化学物質の物理化学的挙動の解明に関する研究
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 信州大学理学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 鈴木啓助

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

佐藤和秀 長岡工業高等専門学校 教授

2

柳澤文孝 山形大学理学部 助教授

3

鈴木利孝 山形大学理学部 助教授

4

飯田俊彰 山形大学農学部 助教授

5

竹内由香里 森林総合研究所十日町試験地 主任研究官

6

坂井亜希子 名古屋大学環境科学研究科 研究員

7

倉元隆之 信州大学理学部 博士課程

8

田中基樹 信州大学理学部 博士課程

9

藤井理行 国立極地研究所 教授

10

本山秀明 国立極地研究所 助教授

11

東久美子 国立極地研究所 助教授

12

植村立 国立極地研究所 学術振興会特別研究員

13

川田邦夫 富山大学極東地域研究センター 教授

14

遠山和大 富山大学理学部 博士課程

15

渡辺幸一 富山県立大学短期大学部 助教授

16

木戸瑞佳 富山県環境科学センター 研究員

17

橋本重将 名古屋大学環境科学研究科 研究員

18

幸島司郎 東京工業大学生命理工学研究科 助教授

19

白岩孝行 総合地球環境学研究科 助教授

20

中村一樹 日本気象協会北海道支社 課長

21

野口泉 北海道環境科学研究センター環境保全部 科長

22

的場澄人 北大低温研

23

石井吉之 北大低温研

24

山崎学 北大低温研

25

成田英器 北大低温研

研究集会開催期間 平成 18 年 9 月 5 日 〜 平成 18 年 9 月 6 日
研究目的  雪氷変質に伴う化学物質の移動や化学反応機構は複雑であり、多くのフィールド観測を基にした研究は雪氷介在中の化学物質の挙動は一つのブラックボックスとして取り扱われているのが現状である。本研究集会は、雪氷化学を取り扱う多分野の研究者と観測者がマクロからミクロに渡る雪氷変質に伴う化学物質の挙動の問題を共通認識として持つことを目的する。また、雪氷化学、雪氷物理、雪氷水文の観点から、これまでの観測法や測定・分析法の検討と新たな手法の議論、これまでの雪氷化学に関する問題を整理し、その問題解決と概念の明確化のために議論を行う。
  
研究内容・成果  研究集会は9月5〜6日に開催され、出席者や約40名だった。「積雪内の化学変態」、「融雪」、「山岳降雪・積雪の化学成分」、「雪氷コア」の4セッションで計13件の研究発表がなされた。
 「積雪内の化学変態」では、融解・再凍結・昇華過程に伴う積雪中の水の同位体比の変化、融解過程で生じる化学成分の流出と再凍結過程で生じる濃縮過程に関する研究が発表された。実際の積雪中で生じる変態過程を、種々の素過程に着目した模擬実験を通して詳細に解明し、その挙動をモデルとして明らかにする興味深い研究発表であった。発表後、融解・再凍結が生じている様な地域で採取されたアイスコアの解釈への応用についての議論がなされた。また、模擬実験を行ううえで、必ず問題になる模擬積雪、模擬降雪の作成方法に関するプラクティカルな議論もなされた。(発表者:飯田(山形大)、橋本(名大))
 「融雪」では、最近の測定機器を用いた融雪水の挙動に関する知見、積雪から河川へ流出する化学成分の挙動についての研究が発表された。積雪層中に含まれる水の挙動からマクロスケールの水文的なアプローチへ展開する過程での問題点などについて議論がなされた。(発表者:竹内(森林総研)、倉元(信州大)、石井(北大低温研))
 「山岳降雪・積雪の化学成分」では、降雪・積雪中の化学成分と化学物質の大気輸送過程、大気中での化学反応に関する研究と、化学成分を利用した山岳積雪の評価に関する研究が発表された。大気化学的な素過程から地域の循環場までの包括的な議論がなされた。(発表者:遠山(富山大)、渡辺(富山県大)、田中(信州大))
 「雪氷コア」では、氷床コア内で生じる微視的な物理・化学反応と氷床コアを用いたダイナミックな古環境復元に関する研究が発表された。(発表者:島田(富山大)、東(極地研)、櫻井(北大環境科学院)、飯塚(北大低温研)、五十嵐(理研))
 この研究集会は、日本雪氷学会雪氷化学分科(会長:佐藤和秀(長岡高専))から企画・立案され、低温科学研究所共同研究集会に申請された。