共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

融解の影響を受けたアイスコアに関する新たなアプローチ
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 名古屋大学環境学研究科
研究代表者/職名 助教授
研究代表者/氏名 藤田耕史

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

竹内望 総合地球環境学研究所 助手

2

三宅隆之 国立極地研究所 研究支援推進員

3

中澤文男 信州大学理学部 奨励研究員

4

瀬川高弘 新領域融合センター 研究員

5

飯塚芳徳 弓削高専 助手

6

植竹淳 東工大生命理工 D3

7

中尾正義 総合地球環境学研究所 教授

8

的場澄人 北大低温研 助手

9

成田英器 北大低温研 研究員

10

岡本祥子 名大環境学研究科 M1

11

岩井彰弘 名大環境学研究科 M1

研究集会開催期間 平成 18 年 9 月 4 日 〜 平成 18 年 9 月 6 日
研究目的 人間活動の影響をより直接的に保存していると考えられる中低緯度では、近年になって数多くの氷河コアが取得されつつある。しかし、中低緯度ではよほどの高標高でなければ融解の影響を受けていない氷河コアを得ることができない。
本研究集会では、これまで質が悪いと考えられてきた融解の影響を受けた氷河コアについて、新たなアプローチによる古環境復元に関するアイデアの提案および最新の解釈・解析に関する紹介をおこなうことを目的とする。これら最新の研究についての意見交換をおこなうことで、日本の研究グループがこれまでに取得してきた氷河コアについて、既存のアプローチとは異なる解釈が可能になることが期待できる。
  
研究内容・成果 2006年9月4日に低温研講堂において当該の研究集会を開催した。研究代表者による趣旨説明の後、中国・ロシアにおいて最近取得されたアイスコアの解析事例の報告が2件あった。その後、融解の影響を受けてるが故にシグナルとして記録されている微生物に関する発表が3件あり、その数を指数とする研究、DNA解析によるより詳細なシグナル抽出の試み、さらに窒素同位体を通して生物活動を再現し、日射や融解の指標として利用するための試みに関しての研究紹介があった。この雪氷微生物を利用したアイスコア解釈は日本が最も先んじている領域であるが、今のところ表層付近でのプロセス研究といった色合いが強い。今後、実際のアイスコア中における時間変動を微生物を通して明らかにした成果がでてくることが期待される。その後、研究集会直前おこなわれたカムチャツカでの掘削に関する発表があり、短い滞在中に観測された数々の現象によって氷板が形成されていったことが報告された。今までは融解指数として考えられてきた氷板が気温の高低とは無関係に生成されるという観測事実は大変示唆に富むものである。その後、その氷板から気温を復元する研究についてのレビューおよび熱収支モデルを通しての問題点の洗い出しに関する発表があった。さらに、アイスコア研究の現状についてその研究が進んでいるが故の視野の狭さを指摘し、より広い分野との交流によってブレークスルーをすべきであるとの檄が飛ばされた。
連続開催となった雪氷化学分科会の研究集会への参加者も議論に加わっていただいたことで、大変充実した研究集会となった。

プログラム
藤田耕史:趣旨説明
成田英器:中国・西崑崙崇測コアによる過去200年の涵養量変化と河川流出量の推定
植竹淳:ロシア・ベルーハ氷河における雪氷生物学的アイスコア解析
三宅隆之:ロシア・ベルーハ氷河の過去約100年の環境変動
瀬川高弘:中国・ドゥンデコアの微生物群集解析
竹内望:アイスコアにふくまれる有機物炭素同位体比からなにがわかるか?
的場澄人:カムチャツカ・イチンスキー氷河観測報告
藤田耕史:コア氷板からの気温復元について再検証を試みる
中尾正義:アイスコア研究のプロフェッショナルのみなさんへ-歴史学に学ぼう