共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

酸性雪の化学特性と経年変化
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 長岡高専
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 佐藤和秀

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

田中一浩 長岡高専 助教授

2

石川信敬 北大低温研 助教授

研究目的  長岡では、年平均pH4.6前後の降雨、降雪が記録されている。積雪の化学特性に着目し、融雪時に大量の化学物質が流出する現象と関連した積雪の分布の実態の特性を調査研究する。長岡周辺の観測を固定点とし、北海道地域との積雪の違いも検討する。また、これまでの長岡での通年観測に依る降水の化学特性の経年変化と空間分布との変動解析から、地球環境問題としての酸性雨(雪)の変動傾向を明らかにしたい。
  
研究内容・成果  長岡市の長岡高専で一年を通し、一日を単位とし、降水の採取を実行した。pH、電機伝導度、主要イオン濃度の分析を行っている。また、平野部の長岡市との比較のため、山岳部の妙高山で冬期、積雪断面観測を実施し、積雪の化学分析を実施中である。また、新潟県の日本海側の長岡市と妙高山との比較のため、北海道の札幌市と岩見沢市でも積雪断面観測と積雪の採取を実施した。今冬(2006年末から2007年3月)は、観測史上初めての少雪の所も多く、長岡市では3月初めまで積雪がほとんど0cmの日が続いた。降水の形態は降雨が多く、降雪が少ない暖かい冬となった。北海道でも平年の半分以下の積雪であった。
 長岡市の降水の2006年平均pHは4.7ほどで夏期に若干pH値が高い傾向がみられた。また2006年3月に新潟県妙高山の積雪調査を行い、平地の長岡と比較した。妙高山の積雪は2005年の12月から3月までの積雪で同時期の長岡と比べると、pH値は妙高山が高い。総イオンの電気当量は、長岡が妙高のほぼ2倍、また海塩由来物質と非海塩由来物質とも長岡は妙高の約2倍であった。長岡は妙高に比べ、海の影響が強く、汚染物質も多いと言える。
 妙高の積雪については、積雪下部のざらめ雪は上部の新雪に比べ、pH値は低い傾向が見られた。これは降雪そのものの変動か融解再凍結によるイオン濃度濃縮の両方が推測される。
 長岡市の降水の化学特性の経年変動と北海道の積雪(2007年3月末段階で未解析)との比較は今後行われる予定である。
  
成果となる論文・学会発表等