共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
積雪山地流域における河川水質変動の比較研究 |
研究代表者/所属 | 信州大学理学部 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 鈴木啓助 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
石井吉之 | 北大低温研 |
研究目的 | 日本を含む東アジアでも同じ程度の酸性降水が観測されているが、流域内での酸緩衝機能が高く、酸性降水による顕著な被害は顕在化していない。しかしながら、北海道のような寒冷積雪域では、融雪期になると北米や北欧と類似した河川水質変動が見られる。これに対し、本州日本海側のような温暖積雪域では、冬から春にかけての河川水質は極めて変動性に富んでいる。 このように冬から春にかけての河川の水質変動は、積雪地帯における物質循環を端的に物語る現象であるが、解明すべき問題も数多く残されている。そこで、温暖積雪域の日本アルプス源流域において河川水質変動機構を解明する。 |
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研究内容・成果 | 長野県伊那市にある山地森林流域において、継続的に水文調査を実施した。流出高の増加が見られた融雪、梅雨、秋雨の時期には河川水質も変化した。降雨による一時的な流出高の増加時には、NO3-濃度の増加にともなって、pHの低下が観測された。ハイドログラフの2成分分離を行った結果、総流出に占める降水成分の割合は約40%であった。融雪による流出高の増加時には、NO3-濃度は初期には高くなったが、後半は低くなる変化を示した。流域における物質収支を求めた結果、すべての陽イオンとSO42-で、流去量が沈着量を上回った。一方、NO3-の物質収支は、沈着量が流去量よりも多くなった。Cl-の物質収支は、ほぼ釣り合っていた。 |
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成果となる論文・学会発表等 | 倉元隆之・鈴木啓助(2005):山地森林流域における河川水質変動と化学物質循環.日本水文科学会誌, 35, 181-189. 田中基樹・鈴木啓助(2005):渓流水質に影響を与える流域特性について.日本水文科学会誌,35,3-14. Suzuki, K. (2005): Effect of winter warming on the stream water acidification. Bulletin of Glaciological Research, 22, 57-61. |