共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

極域における海氷分布と海洋構造・循環の変動機構の解明
研究代表者/所属 独立行政法人海洋研究開発機構
研究代表者/職名 研究員
研究代表者/氏名 菊地隆

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

牛尾収輝 国立極地研究所 助手

2

長島秀樹 東京海洋大学 教授

3

渡辺修一 独立行政法人海洋研究開発機構 グループリーダー

4

深町康 北大低温研

研究目的  北極圏海域,オホーツク海および南大洋を対象として,既存の海洋・海氷・衛星データの解析方針や近未来の観測・研究計画を検討する.特に,従来はデータ蓄積が希薄であった海氷域において如何に有効な観測を展開するかという観測機器・手法の開発を含めて,第4回国際極年をも視野に入れた共同研究の発展を目指す.本研究によって,高緯度海域を特徴づける海氷消長,海洋構造・循環に関する知見が得られ,かつその中でこれまで各海域を主たる研究フィールドとしてきた,北大低温研,東京海洋大,海洋科学技術センターおよび国立極地研を核とした極域海洋の共同研究発展の契機となる.
  
研究内容・成果  本共同研究のもと、2005年11月21日に低温科学研究所において研究集会を行い、2007-08年の国際極年(IPY)を念頭に置いた今後の観測計画・将来構想や、これまでの研究の成果と課題に関しての報告・議論が行われた。
 国立極地研究所からは、今後の南極観測計画とこれまでの観測結果の報告があった。第46次(2004-05年)及び第47次 (2005-06年) 南極観測隊においては海氷観測および中層フロートによる海洋観測が行われている。第48次南極観測隊(2006-07年)には気水圏研究グループとして1名が夏隊に参加し、同様の海氷・海洋観測を続ける予定であることが伝えられた。また2005年10月にVeniceで行われたiAnZone第9回会合の報告も行われた。iAnZoneによるプロジェクトであるSASSI (Synoptic Antarctic Shelf-Slope Interaction)のCTDや係留系による観測計画の図などが示され、IPYに向けた各国の南極観測計画及び日本の観測計画が議論された。
 東京海洋大学からの報告では、海鷹丸による2004, 05年の南大洋での観測航海の結果が示された。この航海では水塊形成に関わる乱流・微細構造に注目した観測が行われており、陸棚上で乱流散逸率が大きな値を示していることが見られるなどの結果が示された。海鷹丸による南大洋の航海は、この後リュッツホルム湾又はアデリーランド沖で2007,08年に計画されており、深層・中層の水塊形成過程に注目した観測が行われる予定である。
 海洋研究開発機構は、IPYに関連して2008年度に海洋地球研究船「みらい」による南大洋観測航海(昭和基地沖合海域及びケルゲルン海台海域)が予定されていることが紹介された。また海氷設置型漂流ブイの開発状況の報告があり、2005年4月に北極点付近の多年氷に設置したブイから始めてのプロファイラーによる水温・塩分観測データが得られたことが示された。
 低温科学研究所からは、今後の観測計画としてIPYに行われるポリニア域での係留観測や2006年のクイーンモードランド沖での海洋観測(MARGINEX-WEST)の紹介がされた。人工衛星データなどを用いたこれまでの研究成果から新たな深層水形成域としてCape Darnley Polynyaが挙げられた。ここで、IPYの期間に海氷厚・水温・塩分などを調べる係留観測を行う予定である。またMARGINEX-WESTではCTD/XCTD観測と共にδ18Oなどの化学観測も行う予定である。これにより、これまでの同海域での観測データと併せて、最近見つけられた深層水の低塩分化の原因を調べる。最後に、国際南極大学プログラムの紹介があった。
  
成果となる論文・学会発表等