共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

冷温帯針広混交林におけるシュート形態と光合成の適応・順化機構の解明
研究代表者/所属 神戸大学自然科学研究科
研究代表者/職名 助手
研究代表者/氏名 石井弘明

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

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原登志彦 北大低温研

研究目的 針葉樹は環境の変化に対して、様々な形態的、生理的順化反応を示す。このうち、光環境に対する順化反応は、分枝パターンやシュートの3次元形態、針葉の形態や光合成速度などとして現れ、個体の成長を左右する。本研究では、北海道北部の北海道大学・雨竜地方研究林の針広混交林において、エゾマツとトドマツにおける光環境の変化に対する形態的・生理的順化反応を調査する。具体的には、樹冠の上部から下部の様々な位置からシュートをサンプリングしシュートおよび針葉の形態変化と光合成速度の測定を行い、シュート光合成の光順化反応への形態的・生理的可塑性の相互寄与率を明らかにする。
  
研究内容・成果 植物は光環境の変化に対して、生理特性や形態を変化させることで順化する。針葉樹では、針葉の光合成特性(乾物重あたりの光合成速度)に加えて、針葉の形態(長さ、厚さ)やシュート内での針葉の配置(シュート形態)、さらには枝内でのシュートの配置(分枝パターン)など様々なスケールにおける形態的順化反応がみられる。本研究では、栄養条件の異なる土壌に植栽したエゾマツおよびアカエゾマツのシュートの光合成特性および形態を比較した。シュートの光合成速度の種間・土壌条件・光条件による差は針葉の単重量あたりの光合成速度において最大となり、ついで針葉の投影面積あたり、シュートの投影面積あたりの順に減少した。この結果から、針葉樹シュートの光合成効率には立地条件や光環境に対する形態的な順化反応が大きく寄与していることが示唆された。また、アカエゾマツの陽樹冠シュートの針葉を間引いて陰樹冠シュートと同様の針葉配置とし、針葉の相互被陰を削減した。間引いた陽樹冠シュートの最大光合成速度は間引き前と比べて減少したが、弱光下での光合成速度は間引き前よりも増加し光補償点は低下した。シュート投影面積あたりの光合成速度は陰樹冠シュートで最も高く、ついで間引いた陽樹冠シュート、間引き前の陽樹冠シュートの順に減少した。さらに、間引き前後のシュート光合成の差は針葉投影面積あたりに換算すると拡大した。これらの結果は、針葉樹のシュート光合成の光順化反応において、形態的変化が大きく寄与していることを示唆している。
  
成果となる論文・学会発表等 石井弘明・吉村謙一(2006)針葉樹のシュート光合成の順化反応におけるシュート三次元構造と生理特性の相互寄与率.53回日本生態学会大会.2006.3.26新潟