共同研究報告書
研究区分 | 研究集会 |
研究課題 |
アジア各地における氷河変動の比較研究 |
研究代表者/所属 | 名古屋大学環境学研究科 |
研究代表者/職名 | 助教授 |
研究代表者/氏名 | 藤田耕史 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
|
所 属
|
職 名
|
|
1 |
橋本重将 | 名古屋大学理学研究科 | 博士後期課程 |
2 |
内藤望 | 広島工業大学環境学部 | 講師 |
3 |
植竹淳 | 東京工業大学大学院生命理工学研究科 | 博士後期課程 |
4 |
坂井亜規子 | 名古屋大学環境学研究科 | 学振特別研究員 |
5 |
松田好弘 | 名古屋大学環境学研究科 | 博士後期課程 |
6 |
中澤文男 | 名古屋大学理学研究科 | 博士後期課程 |
7 |
瀬川高弘 | 東京工業大学大学院生命理工学研究科 | 博士後期課程 |
8 |
伏見碩二 | 滋賀県立大学環境科学部 | 教授 |
9 |
竹内望 | 総合地球環境学研究所 | 助手 |
10 |
上田豊 | 名古屋大学環境学研究科 | 教授 |
11 |
奈良間千之 | 東京都立大学理学研究科 | 研究生 |
12 |
岩田修二 | 東京都立大学理学研究科 | 教授 |
13 |
幸島司郎 | 東京工業大学大学院生命理工学研究科 | 助教授 |
14 |
白岩孝行 | 北大低温研 | |
15 |
紺屋恵子 | 北大低温研 |
研究集会開催期間 | 平成 17 年 3 月 3 日 〜 平成 17 年 3 月 4 日 |
研究目的 | 近年、山岳氷河の縮小にともなう水資源の枯渇や海水位の上昇が危惧されているように、氷河変動は環境問題と気候変動の両者の面から重要である。これまで山岳氷河変動のモニタリングは欧米の氷河を中心に行われており、アジアの氷河変動は1970年代になって単発的な記録があるものの全般的には記録が乏しい。そこで本研究では近年データが蓄積されつつあるアジア高山域の氷河変動の実態について、世界の山岳氷河との比較をおこなう。また、実態把握とともに、氷河変動(特に質量収支)のモデリングについても複数のモデルに関する比較検討を行う。 |
|
|
研究内容・成果 | 研究集会では主に、ブータン、ネパールの氷河変動に関する観測結果の報告がなされた。ブータンにおける観測は、観測期間が十分に確保できないために、自動気象計による気象モニタリングと平行して、衛星リモートセンシングを利用した研究が進められている。一方、ネパールにおいては通常の小型氷河に加え、土砂をかぶった「デブリ氷河」と呼ばれる大型氷河においても変動に関する観測結果が出つつあることが報告された。 これら観測結果に加え、氷河の質量収支に関する数値計算モデルの開発と応用についての発表があった。氷河の融解を決める熱収支では、主に短波放射(太陽日射)の影響が大きいため、その吸収率を決める表面反射率(アルベド)が正確に再現できるかがモデルの再現性をも決めることになる。雪のアルベドについては過去に提案されたモデルが利用できるものの、「風化氷」と呼ばれる氷河独特の白い氷が形成されることによってアルベドが低くならないことが問題となっている。この風化氷のアルベドのモデル化が重要であることが報告された。また、山岳地形による日射の遮蔽の有無が氷河表面の融解量を強くコントロールしている可能性が示された。地形の遮蔽効果の程度は緯度によっても異なるため、全球的な比較が重要である。 以上のように、観測結果はアジア高山域の氷河が中心ではあるものの、その応用とも言えるモデル研究においては世界の氷河との比較を念頭に置いた開発、解析が進められている。 |
|