共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

吹雪環境下における放射特性の変動に関する研究
研究代表者/所属 海洋研究開発機構地球環境観測研究センター
研究代表者/職名 研究員
研究代表者/氏名 杉浦幸之助

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

青木輝夫 気象研究所 主任研究官

2

兒玉裕二 北大低温研

研究目的  近年,気候変動の解明と予測が重要な課題となってきている.そのためには,気候変動に影響を及ぼす大気,海洋,陸面,雪氷圏,生物圏といった地球全体の表層環境の個々の素過程とそれらの関係について詳細に調べてその実態を解明し,モデル化していく必要がある.
 吹雪は雪氷圏の水循環にとって重要なサブプロセスであることから,本研究ではまず吹雪の放射特性に着目した.そこで長期にわたる吹雪の定点観測を行い,吹雪時の放射特性の実態を把握し,吹雪のモデル構築に役立てることを目的とする.
  
研究内容・成果  2003年12月25日,北海道大学低温科学研究所露場に2台のスノーパーティクルカウンター(新潟電機,SPC-S7)を設置した.地面からの高さはそれぞれ3mと1.5mである.これにより連続的に吹雪をモニタリングすることができる.他にも放射装置が2003年10月に設置され,2003年12月から積雪断面観測が開始されている.
 これまでに回収できたスノーパーティクルカウンターの冬期データをもとに,気温0℃未満で水平方向に輸送される質量フラックスを粒径別(0.05〜0.5mmまで32階級ごと)に求めた.全粒径を積算した質量フラックスの解析結果から,高さ3mに比べて,高さ1.5mの方が多量の雪粒子が輸送されている様子を確認した.これは風速は雪面に近づくにつれ弱まるものの,一旦降り積もった雪粒子が再び舞い上がり,風下に輸送された分が加わっているためである.
 また高度が異なると,雪粒子の粒径分布に相違が見られた.雪面近傍ではとりわけ小さな粒子が多量に輸送されていた.今年度はこれらのように吹雪の基本的特徴をよく示すデータを取得し,解析することができた.今後は特定の吹雪イベントに着目して,吹雪と放射の関係をより詳細に調べる予定である.