共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
微地形に応じた積雪分布と局所シダ植物種密度の対応 |
研究代表者/所属 | 信州大学理学部 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 佐藤利幸 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
児玉裕二 | 北大低温研 |
研究目的 | 北海道北部の最寒地(母子里)周辺における草本植物(とくにシダ植物)の分布パターンを狭い範囲から地域的な範囲へ拡大するスケーリング解析を行い、積雪環境(深さ・期間)が微地形に応じてどんなスケールで最も植物分布に影響を与えるかを解析する。 |
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研究内容・成果 | 2004年8-9月に2回の調査、2005年2月に研究打ち合わせを1回行った。北海道北部調査は約50地点である。その結果、これまでの20年間の資料に追加することにより、(1)北海道北部では日本海側にゼンマイ・ヤマイヌワラビ・サトメシダ・サカゲイノデなどが多産し、(2)オホーツク海側にはホソイノデ・シラネワラビ・ヒカゲノカズラ・エゾメシダなどが多産する。相対的なシダ種密度はあきらかに日本海側と中央山地が高い。 日本海側では最大積雪深が高く・生育期間が短いこと、また谷密度が高いことが知られる。谷密度や谷ごとに残る残雪が晩春の水分供給に役立ち、シダ生育に有効な場を提供していると予想される。 これまで5kmx5km区画による比較研究からは積雪深や谷密度とシダ分布パターンの対応がしめされてきたが、2.5kmX2.5kmでは牧草地の広がりや市街地、森林などのパターンとの対応が示されそうである。 10kmx10kmではより広い範囲(北海道スケール)でのパターンが示される。その場合、オホーツク海側にやや偏った内陸に日本ではまれな、ナヨシダ・ヒメイワトラノオ・イワカゲワラビ・ヒメハナワラビ・ヒメドクサなどが出現することがわかる。これらは現在の積雪分布や生育期間などとの対応するのではなく、永久凍土(地下氷)の存在や地質体の成立との対応を考慮すべきかもしれない。 本研究の印刷費20万円は北海道北・東部のシダ多様性と分布の小冊子印刷の400冊分に有効利用させていただきました。ひきつづき北海道中央・南部の編集に着手しております。 |
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