共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

火星表面模擬凍土層でのクレーター形成に関する実験的研究
研究代表者/所属 神戸大学
研究代表者/職名 助教授
研究代表者/氏名 中村昭子

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

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荒川政彦 北大低温研 助手

研究目的 火星表面の衝突クレーターには、中央に窪みがあるピットクレーターなど、表面に水などの揮発性物質が含まれることによるとされる特徴が見られる。また、火星以遠の太陽系小天体にも氷岩石混合物は普遍的に存在する。
氷単体、岩石単体についての衝突実験や数値シミュレーションに比べて、氷岩石混合物についての研究はほとんど行われていない。そこで、氷岩石混合試料に対するクレーター形成について実験的に調べることを目的とする。
  
研究内容・成果 前年度までは、263Kの低温室内で、ガス銃と二段式軽ガス銃を用いて氷岩石混合試料にクレーターをつくり、純氷の場合と比較する衝突実験を行ってきた。クレーターの体積のみならず形態も岩石含有率によっては変化した。クレーター形成過程には試料の強度とターゲット中の衝撃波の減衰が重要となる。そこで、本研究では、氷に岩石が混じることで衝撃波の減衰の様相が氷単体の場合とどのように異なるかを明らかにすることに焦点をあわせる。
低温室内の二段式軽ガス銃を用いて、ナイロンプロジェクタイルを3.8km/sに加速し試料に衝突させる。厚みを変えた試料を用意し、それぞれの試料の後面で圧力ゲージを用いて圧力を測定することで、衝撃圧力が試料内を伝わる距離とともにいかに減衰するかを捉える。二段式軽ガス銃の弾丸は、円錐を底面に平行な面で切った形で、直径が前面が1.6mm後面が2.2mm、高さが2.5mmである。今回は、試料として、純氷と岩石含有率12.5 wt %の氷岩石混合物を準備した。
予備的な実験として、純氷について2発、混合試料について4発の実験を行った。そのうち、それぞれ2発ずつ、試料厚みがプロジェクタイル半径の4.3および12倍、9.4および23倍のものについて目標の衝突速度を達成することができた。衝突時に発生する圧力は両試料ともにおよそ10GPと計算される。純氷中の衝撃圧力減衰率は1.3と計算され、過去の低速度衝突の実験での減衰率よりも大きいが、これはこれまでの衝撃圧力減衰率に対する知見と調和的である。他方、氷岩石混合試料中の衝撃圧力減衰率は、2程度と純氷中の衝撃圧力減衰率よりも大きかった。この原因としては、氷中の岩石粉により衝撃波が散乱される、試料作成にともなって増えた空隙によりエネルギー散逸が大きい、などが考えられるが、詳しい議論の前により確かな減衰率の導出が必要である。岩石混合試料中の減衰率を導くには、今後、実験数を増やしていく必要がある。