共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
亜寒帯域草本植物における遺伝的変異・サイズ構造と多様性 |
研究代表者/所属 | 徳島大学総合科学部 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 鈴木和雄 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
堀良通 | 茨城大、理 | 教授 |
2 |
牧雅之 | 東北大、理 | 助教授 |
3 |
堂囿いくみ | 都立大,理 | 研究生 |
4 |
河原崎里子 | 森林総合研究所 | 非常勤職員 |
5 |
堀江佐知子 | 東北大、理 | 博士4年 |
6 |
原登志彦 | 北大低温研 | 教授 |
7 |
隅田明洋 | 北大低温研 | 助教授 |
研究目的 | 実際の野外の植物集団はサイズ的,遺伝的に異なる個体により構成されているわけであるが,これらの構造が,進化的動態とどう関係しているのかを解明するのが本研究の目的である.このため遺伝的構造と生態学的諸特性の解析を同時に行い,両者を同時に考慮することによって,この研究を進めて行く.本研究では,地球環境変化の影響を最も受けやすいと思われる寒帯ー亜寒帯地域の草本植物群落を研究することによりより地球環境変化に関連した植生の動態をより正確に予測するモデルを開発するための基礎研究を行うことにもなる. |
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研究内容・成果 | (1)温帯から亜寒帯の樹林下にしばしば優占する3種のササ類,スズタケ,ミヤコザサ,アズマネザサ群落において,シュートの生長量を測定した.また,これらが同所的に存在する場合の群落内の競合についてシュートの生長量の相対的比較を行い,競争の結果がどのようなメカニズムによってもたらされるかを明らかにした. (2)亜寒帯から温帯までに広く分布するコバギボウシの遺伝的構造と生態学的諸特性の関係を明らかにするために,コバギボウシの種内遺伝的分化を解析した.葉緑体DNAの遺伝子間領域およびイントロンのおよそ3000bpについて塩基配列を決定したところ,北海道北部から九州南部までの広い範囲の集団において,塩基置換がほとんど見られず,コバギボウシが急速に分布域を広げたことが推測された.遺伝的な均一性が高いにもかかわらず,生態的諸特性が集団間で大きく違うことを考えると,形質に強い淘汰が働いている可能性を指摘できる. (3)タカクマヒキオコシの繁殖特性に関して,2種のマルハナバチがこの種の繁殖にどのように関わっているかを明らかにするために,野生集団における訪花実験を行った.低地帯では,おもにトラマルハナバチのみが訪花し,タカクマヒキオコシの花冠サイズもトラマルハナバチのサイズに対応したものとなっていた.一方,高地ではミヤママルハナバチも訪花し,タカクマヒキオコシの花冠サイズもそれに応じて減少した.この種における繁殖動態と遺伝的構造の関係を明らかにすることが今後の課題としてあげられる. (4)タカクマヒキオコシを含むヤマハッカ属の遺伝的動態を解析するために,ヤマハッカ属に広く見られるマイクロサテライトDNA領域の単離を行った.結果として,複数のマイクロサテライトDNA領域が見出され,今後,遺伝的解析を行う見通しをつけることができた. (5)シロイヌナズナは実験植物としては代表的なものであり,北半球に広く分布する.この種を用いて,生態的諸特性と遺伝的構造の関係を明らかにすることには非常に大きなメリットがある.本年はシロイヌナズナの強光下での発芽、成長実験を行い,この種の成長特性について解析を行った.今後,生態的特性および遺伝的構造に関して,より詳細な解析を行っていく予定である. |
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