共同研究報告書提出

共同研究報告書

研究区分	一般研究
研究課題	レーダデータ同化によるサハリン対応油漂流予測システムの精度向上に関する研究
研究代表者／所属	立正大学地球環境科学部
研究代表者／職名	教授
研究代表者／氏名	後藤真太郎

研究分担者／氏名／所属／職名
	氏　　名	所　　属	職　　名
1	宮田大輔	立正大学地球環境科学部	助手
2	白澤邦男	北大低温研	助教授

研究目的	北大保有の流氷レーダや海洋レーダ、オホーツク流氷研究センター観測塔屋上に設置されている船舶レーダのレーダ画像から、リアルタイムに更新される海流データを推定し、そのデータで海流シミュレーションにより推定される海流分布を補正し、油漂流シミュレーションの精度を向上させることを目的とする。基本となるシミュレーションについては、ナホトカ事故における漂着データにより検証を経て、日本海-オホーツク海を対象とした海域における油漂流のシミュレートが可能になっている。本研究では、上記レーダで取得されるデータをシミュレションに取り込み、シミュレーションの精度向上の検証を行う。
Fig.1船舶レーダ画像（2004年2月24日AM9:00）　Fig2. 船舶レーダ画像より得られ表層流速（2004年2月24日AM9:00）　Fig.3海流の数値シミュレーション結果（2004年2月24日AM9:00）
研究内容・成果	本研究における実施内容は以下の通りである。 ①油漂流シミュレーションシステムの構築 ②現地観測による船舶レーダデータの取得 ③油漂流シミュレーション精度の検証　①においては、基本となる油漂流シミュレーションシステムは海流シミュレーションフェーズと油漂流シミュレーションフェーズの2つの計算フェーズより校正され、既に構築済みであり、境界条件をオホーツク海を対象にしたシミュレーションに対応できるよう改良した。　②については、シミュレーションの重要なパラメータである二次元海流場のデータを取得するために、北大流氷研究施設殿保有の海洋レーダ、オホーツク流氷研究センターの観測塔に設置されている船舶レーダのデータを処理・解析を行った。このため、立正大学所有のレーダデータ用A/D変換機を流氷研究センターに持ち込み、2月初旬-3月末まで観測を行った。低温研レーダ画像との同期観測は、2月初旬に行った。 Fig.1は、船舶レーダ画像（2004年2月24日AM9:00） Fig.2は、同時刻の船舶レーダ画像より求めた表層流速の分布 Fig.3は、同時刻の気象庁提供の風向・風速分布データを利用した海流の数値シミュレーション（油漂流シミュレーションの最初のフェーズ）の結果を示す。船舶レーダより表層流速を求める際、船舶レーダの時間的に連続するレーダーエコー画像に対して、離散FFTを行い、x方向、y方向の波数（rad/m）と角周波数ω（rad/s）の空間において、3次元スペクトルを求め、角周波数と波数の分散関係式から、微小振幅波からの移動量を抽出し表層流速を得たが、Fig.2の表層流速の平均的なベクトル量とFig.3に示す海流の数値シミュレーション結果を見ると船舶レーダから得られた表層流速は、局所的な画像に及ぼすノイズの影響があり、数値シミュレーションを補完するデータとして使用に供するためには、更なる検証が必要である。　このため、③については、①に②のデータを取り込みシミュレーションを実施し検証を行う予定であったが、レーダデータの画像解析結果より得られた波速、波向とシミュレーションよりえられた流速、流向との比較を行うことにより精度検証を行った際の検証で結果的に定性的な検証しか出来ず、レーダデータ同化による精度検証は次年度以降の課題としたい。
Fig.1船舶レーダ画像（2004年2月24日AM9:00）　Fig2. 船舶レーダ画像より得られ表層流速（2004年2月24日AM9:00）　Fig.3海流の数値シミュレーション結果（2004年2月24日AM9:00）