共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

シベリアにおける水・エネルギー循環に関する研究集会
研究代表者/所属 名古屋大学大学院生命農学研究科
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 太田岳史

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

福嶌義宏 総合地球環境学研究所 教授

2

窪田順平 東京農工大学農学部 助教授

3

檜山哲哉 名古屋大学地球水循環研究センター 助教授

4

杉本敦子 京都大学生態学研究センター 助教授

5

吉川 賢 岡山大学農学部 教授

6

橋本 哲 島根大学生物資源科学部 助教授

7

山崎 剛 地球観測フロンティア研究システム 研究員

8

矢吹裕伯 地球観測フロンティア研究システム 研究員

9

高田久美子 地球フロンティア研究システム 研究員

10

鈴木力英 地球フロンティア研究システム 研究員

11

児玉裕二 北大低温研

12

大畑哲夫 北大低温研

13

石井吉之 北大低温研

研究集会開催期間 平成 14 年 11 月 28 日 〜 平成 14 年 11 月 29 日
研究目的 大陸規模での気候状態,北極海への淡水供給に大きな影響を与えるといわれているシベリアにおける水・エネルギー循環に関して,水文学,気象学,気候学,植物生理学,植物生態学の分野から広く情報の交換をはかる.
  
研究内容・成果  南部山岳タイガ,中部平地タイガ,ツンドラでの議論を中心に行った.
 南部タイガではロシア側によって得られている過去の水文データを用いて,流出特性の季節変動が議論された.その結果,季節の進行により洪水流出の減水勾配が小さくなって行くことが示された.これは,永久凍土の融解により流出に関与する土壌層の厚さが増加して行くことが原因とされた.また,冬期の積雪面からの昇華蒸発量が,水収支に与える影響は無視できないことが報告された.
 中部タイガに関しては,カラマツ林とアカマツ林では融雪直後に樹冠上熱収支に大きな相違があることが報告された.これは常緑樹と落葉樹という樹種の相違,両森林での永久凍土の融解速度の相違に起因していることが推論された.また,カラマツ林では湿潤年と乾燥年では樹木の利用する土壌水の深度が変化していることが示唆された.また,航空機観測の結果レナ川およびその河川敷上と段丘上の森林上ではフラックスに大きな相違のあることが示された.そして大気の鉛直構造の季節変動が示された.
 ツンドラ地域では,熱収支構成が風向に強く依存していることが報告された.また,流域内の多く存在する雪の吹き溜まりが流出に与える影響が,流出モデルを介して議論された.その結果,吹き溜まりの損座を正確にもでるに反映させることの重要性が指摘された.