共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

氷河湖の拡大機構とその決壊危険度評価に関する研究
研究代表者/所属 弘前大学農学生命科学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 檜垣大助

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

知北和久 北大大学院理学研究科 助教授

2

伏見碩二 滋賀県立大学環境科学部 教授

3

上田 豊 名古屋大学大学院環境学研究科 教授

4

藤田耕史 名古屋大学大学院環境学研究科 助教授

5

坂井亜規子 名古屋大学大学院環境学研究科 学術振興会特別研究員

6

内藤 望 地球環境学研究所 技術補佐員

7

Rijan Kayastha 名古屋大学大学院環境学研究科 博士課程学生

8

小林俊一 新潟大学積雪地域災害研究センター 教授

9

原田鉱一郎 宮城県農業短期大学 講師

10

斎藤光義 三井金属資源開発 研究員

11

岩田修二 東京都立大学理学研究科 教授

12

諏訪 浩 京都大学防災研究所 助教授

13

矢吹裕伯 地球観測フロンティア研究システム 研究員

14

山田知充 北大低温研

15

西村浩一 北大低温研

研究集会開催期間 平成 15 年 2 月 1 日 〜 平成 15 年 2 月 2 日
研究目的  気候変動に敏感に反応するモンスーン型氷河であるヒマラヤの山岳氷河の縮小は近年著しい。その結果、氷河湖が多数形成され、ネパール・ブータン等のヒマラヤ諸国では、その決壊による洪水(氷河湖決壊洪水)の危険性が高まっている。本研究集会は、現在進行中の科学研究費補助金による「モンスーンヒマラヤにおける氷河縮小の動態解明」および「モレーンで堰き止められた氷河湖の形成機構と発達機構に関する研究」における平成14年度研究成果の発表と情報交換、さらに関連分野の研究者の知見も得て、今後の研究課題の検討を目的として開催された。
  
研究内容・成果  「氷河湖に関する研究集会」が、平成15年2月1日〜2日北海道大学低温科学研究所で31名の参加者をもって開催された。
 研究集会では、まず、これまで研究が続けられてきたネパール・クンブー山域のイムジャ氷河湖の拡大過程, 氷河モニタリング, 氷河の質量収支モデル, 氷河起源と考えられる土石流について発表・討議がなされた。次に、平成14年度にブータン政府鉱山地質局との共同研究で実施されたブータンヒマラヤの氷河湖決壊調査の報告と15年度に推進すべき研究内容について議論された。1994年氷河湖決壊洪水の発生源となったルゲ湖のあるルナナ地方での現地観測や衛星データを用いた氷河の挙動解析, 氷河水文, 氷河域の生物等について話題提供がなされた。また、湖とその周辺の地形や下流域の地理的条件から氷河湖の決壊危険度を評価する手法, 下流域での地形や流木を考慮した氷河湖決壊洪水時の洪水・河岸浸食危険箇所評価について話題提供があった。
今回の研究集会における発表者と題目は、以下のようである。
坂井亜規子・西村浩一:Imja 氷河湖の拡大について
上田豊:ヒマラヤ氷河モニタリング研修コース体験記―インドの氷河から欧亜の第一歩
松田好弘:アジアの山岳氷河に広域的に適用できる質量収支モデルの研究
諏訪浩:氷河あるいは氷河湖決壊起源の土石流
Yamada, T. and Naito, N.:Outline of the Japan-Bhutan Joint GLOF Research 2002 in the Lunana area.
内藤望:Bhutan 2002, Lunana調査報告―AWS and D型氷河編―
Yamada, T. (Hokkaido Univ.) and Sato, N.(Hokkaido Univ..):Preliminary report of the investigation of the Lugge Tsho in the east Lunana region, Bhutan Himalayas.
伏見硯二:ブータン・ルナナ地域のGLOF発生要因と対策―地温構造の視点でー
幸島司郎:ブータンの氷河生物調査および小氷河調査報告
鈴木亮平:調査報告と今後の予定
中澤文男:ガンジャ・ラ氷河ピット観測とコア掘削の報告, および今後の解析計画
岩田修二:氷河湖の決壊洪水危険度評価の評価手法の指針の検討
小森次郎・デオラジグルン・岩田修二:チャムカール川源流Chubda氷河および氷河湖の特徴とGLOF発生の危険度評価
桧垣大助・梅村順:ブータン西部プナカ周辺のGLOFによる河川沿いの侵食・洪水氾濫危険性調査