共同研究報告書提出

共同研究報告書

研究区分	一般研究
研究課題	タロイモショウジョウバエ属arenga種群の分類学的研究
研究代表者／所属	琉球大学農学部
研究代表者／職名	助教授
研究代表者／氏名	屋富祖昌子

研究分担者／氏名／所属／職名
	氏　　名	所　　属	職　　名
1	戸田正憲	北大低温研	教授

研究目的	研究目的　ショウジョウバエ科タロイモショウジョウバエ属には23種の既知種と25種の未記載種が発見されている。これらの種の大半はサトイモ科植物の花から得られるが、中にヤシ類の花から採集される3既知種がいる。これらはarenga種群として本属のなかに位置付けられているが、今回、これらを詳しく再記載するとともに、タロイモショウジョウバエ属から分離し、新属として設立する。

研究内容・成果	研究内容・成果　　タロイモショウジョウバエ属は戸田らによる精密な形態形質の解析により、5つの種群に分けられた。arenga種群は、触角刺毛が単眼3個を結んで作られる三角形(ocellar triangle) の外にあることによって、本属に含まれる種群として扱われたきた。しかし、その一方で、これら3種は本属の種に特徴的な、前脚第2ふ節の距または大きな刺を欠いている。今回はこれまで種の分類に用いられてきた20あまりの形態形質とともに、口器の微細構造等の新たな形質を加え、約60の形態形質を精査した。　その結果、arenga種群は、①口孔（cibarium) の背面にあるmedial sensilla の配列が先端方向に向けて開いていることと、それらのsensilla の列はhypopharynx の後方にあること、また、cibarium自体の形が洋ナシ型ではないこと、②雄の腹部第9背板(epandrium)のantero-ventral corner が細長く伸びて後方に曲がること、③surstylus が第9背板に癒合せず、よく発達していること、④雄の第6腹板に突起を欠くこと、⑤さらに雌の産卵管(oviscapt)の形状が舟形で、表面に短い頑丈な刺の列を有すること（この特徴はタロイモショウジョウバエ属のなかでは、唯一オガタマノキ属の花から得られたC. crassipes に見られた）等によって他の5つの種群と異なることが明らかとなった。　このうち、①と②は戸田らが行った系統解析の中で、nonhomoplasy 即ち常時偶然に生じる形質ではない進化形質として、arenga種群を独立させる根拠となっていたものである。今回、これらの形質が同種群に属する3種に共通に見られることを確認した。またこれらの形質の他にも3種に共有される複数の形質が整理され、新属としての位置付けが出来た。