共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
X線を用いたクラスレートハイドレートの特性に関する研究 |
研究代表者/所属 | 産業技術総合研究所 |
研究代表者/職名 | 研究員 |
研究代表者/氏名 | 竹谷敏 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
内田努 | 産業技術総合研究所 | 主任研究員 |
2 |
長尾二郎 | 産業技術総合研究所 | 主任研究員 |
3 |
海老沼孝郎 | 産業技術総合研究所 | グループリーダー |
4 |
成田英夫 | 産業技術総合研究所 | 副部門長 |
5 |
本堂武夫 | 北大低温研 | |
6 |
堀彰 | 北大低温研 |
研究目的 | 地球環境問題や新たなエネルギー資源の観点から注目されているスハイドレートではあるが、その物性等については明らかにされていない点が多い。本研究では、X線回折法を用いることにより、その成長機構の解明を目指す。 |
研究内容・成果 | 水分子により形成される篭型構造の中にガス分子を取り込むことにより安定化するクラスレート・ハイドレートは、天然にはCO2ハイドレート、CH4ハイドレート、Airハイドレート等の存在が知られており、地球環境問題や新たなエネルギー資源の観点から注目されている。しかし、氷―ガス界面からのハイドレート結晶の成長は、一般にハイドレート結晶中の水・ガス分子の拡散によって起こるため、非常に長い反応時間を必要とし、そのメカニズムは明らかにされていない。 高エネルギーX線発生装置(200kV, 90mA)を用いることにより、高圧力条件下における結晶成長過程のその場観察を行っている(図1)。今までに、0.98MPaの圧力条件下で、氷―CO2ガス界面からのCO2ハイドレート結晶の成長過程のその場観察を行い、Salamatin et. al.[1]によるハイドレート形成モデルを適用することにより、CO2ハイドレート結晶(I型構造)の成長時のハイドレート結晶中の拡散係数、およびその際の活性化エネルギーを明らかにしてきた[2]。 本研究においては、10MPa以上の高圧条件下においての圧力条件下で氷―N2ガス界面からのN2ハイドレート結晶(II型構造)の成長過程のその場観察を行い、同様にN2ハイドレートの成長時のハイドレート結晶中の拡散係数、およびその際の活性化エネルギーを求めた。11.8MPa,258KにおけるN2ハイドレートの成長過程における回折プロファイルの時間変化を図2に示す。最も手前の回折プロファイルはN2ガス注入前の氷Ihのものであり、以降、N2ガス注入後24時間毎の回折プロファイルであるが、徐々にN2ハイドレートの回折ピークが現れ、Ih(氷)からN2ハイドレートへと変化していく様子が見られる。各回折ピークの積分強度は結晶の体積に比例しており、この図から、ハイドレート結晶の成長速度を求めることができる。 その結果、同温度での拡散係数の違いが明らかになった。その一方で、結晶構造が異なるにもかかわらず、拡散の活性化エネルギーはほぼ同じであった。 参考文献 [1] A.N. Salamatin, et. al., J.Crystal Growth 193(1998)197. [2] S. Takeya, et. al., Ann.NY Academy of Sci., 912(2000)973. |