共同研究報告書提出

共同研究報告書

研究区分	一般研究
研究課題	雪結晶の蒸発・再成長過程に関する実験的研究
研究代表者／所属	北教大・教育実践セ
研究代表者／職名	助教授
研究代表者／氏名	高橋庸哉

研究分担者／氏名／所属／職名
	氏　　名	所　　属	職　　名
1	遠藤辰雄	北大低温研

研究目的	天然の降水過程ではシーダ-フィーダ機構が重要な働きをしている。生成セル内で発生・成長した氷晶が落下し、その下層にある雲内で気相析出成長(depositional growth)する。下層雲に到達するまでの間には、昇華蒸発ステージを経るのが一般的と考えられる。本研究では、雪結晶を成長・蒸発・再成長させ、雪結晶の成長に与える蒸発履歴の影響を実験的に明らかにする。

研究内容・成果	実験に用いた鉛直過冷却雲風洞では、着目した雪結晶の落下速度に等しい上昇流を与え、1個の雪結晶を空中の1点に浮遊させながら任意の時間成長あるいは蒸発させることができる(Takahashi et al.， 1991)。このラグランジェ的実験がこれまでにない特長であり、個々の雪結晶の大気中での挙動・誕生からの履歴をシミュレーションすることができる。　実験は次のように行った：　①超音波噴霧器で雲を発生させ、水飽和を実現し、雪の結晶を一定時間（10分乃至15分）気相析出成長させる，②噴霧器を止め、一定時間未飽和として雪結晶を昇華させる，③噴霧器から雲を再度発生させ、水飽和として再成長させる。落下速度及び露点温度が連続的にモニターされ、露点温度から相対湿度が求めた。針状結晶及び角柱、角板、樹枝状結晶が成長する各温度領域で実験を行った。実験に使用させて頂いていた低温室が3月末から改修工事が予定されていたため、十分なデータを得ることを第一に研究を進めた。今後データ解析を行い、日本気象学会や雲と降水に関する国際会議などで発表していく予定である。