共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

オホーツク海の岩石海岸と砂質海岸に発達するice footの比較研究
研究代表者/所属 法政大学経済学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 田渕洋

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

小沢和浩 法政大学経済学部 教授

2

白澤邦男 北大低温研

研究目的 寒冷地の海岸では、汀線付近には氷からなるマウンドが汀線に平行して形成される。この現象は周氷河現象であり,Ice Footと呼ばれている。継続した現在の野外観察の結果によれば、オホーツク海岸でのIce Footの形成は12月に始まり4月に終わる。その形成には海氷(流氷)の南下が関わっており、流氷の南下が遅く、十分なopen water があることが必要である。いくら寒い冬でも流氷の南下が早ければIce Footは形成されない。地球温暖化に伴い流氷の規模が小さくなり、流氷初日も遅れると様々な方法で予測されているが、Ice Footには十分な注意が払われていない。Ice Foot の形成衰退過程についての十分な観察を行う事が本研究の目的である。
  
研究内容・成果 オホーツク沿岸の海岸は大きく分けて堆積海岸と侵食海岸からなる。
オホーツク沿岸の砂・礫からなる堆積海岸では、冬季に月平均気温が10℃以下になると、Ice Foot、 Ice Kettleなど各種の周氷河地形が発達することが明らかにされてきた。また、Ice Footの測量によって、Ice Footが形成されている期間の海岸は”堆積期”でも”侵食期”でもない、”安定期”であることが明らかになった。今年度の調査では、オムサロ原生花園と小清水原生花園の両所でIce Foot、 Ice Kettleの形成過程の確認をした。昨年から継続して観察を行っているオムサロ原生花園の海岸では、広域の流氷の動きによって形成された「流氷山脈」を観察するチャンスに恵まれた。
侵食を受けている岩石海岸については、侵食が進行している岩石海食崖が形成されている網走の岩石海岸の調査を行った。地形学では海食崖の基部に形成されるノッチの成因を波によると説明している。しかし寒冷地では汀線付近で凍結・融解及び乾燥・湿潤が繰り返されている。岩石の凍結・融解の差は岩石の粒径ではなく、含水率によって決まると推測される。例えば粗い砂岩よりも頁岩などの方が凍結・融解に対して弱い。今回の調査では、凍結・融解及び乾燥・湿潤が繰り返される結果として、波の力の弱いところにもノッチが形成されている事を確認した。