共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

オホーツク海沿岸地域の寒冷期における大気中の日射透過特性、特に反射日射について
研究代表者/所属 敬愛大学国際学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 中村圭三

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

三谷雅肆 道都大学教養部 教授

2

石川信敬 北大低温研

研究目的 1993年以来実施している日射観測を継続し、寒冷期のオホーツク海沿岸地域における日射特性、特に全天日射・直達日射・散乱日射等の各成分を対象に、より分析的に把握することを目的とする。ここでは、快晴時の日射エネルギーの散乱、特に雪原、海氷面からの反射日射の再散乱効果、海氷面面積の変化をパラメータとして追跡する。また、気象条件、大気条件を考慮しながら、地表面(雪原、海氷面)と雲面(雲量0〜10)間での反射日射の効果をも把握する。

  
研究内容・成果  北海道のオホーツク海沿岸における1993年から2002年までの日射量観測の結果から、海氷期の水平面日射特性、特に日射におよぼす海氷面の反射日射の効果を雲の有無に分けて検討した。その結果得られた主な知見は次の通りである。
1. 大気透過率は1月から2月(海氷最盛期)にかけて、大略0.75〜0.85の比較的高い値を示した。その原因は、主としてこの期間の低い大気水蒸気量によるものと考えられるが、海氷による海塩飛散の抑制が大気中エアロゾル濃度の低下につながり、これもその原因の一つと思料される。
2. 快晴日の水平面1日積算散乱日射量は、海面が広範囲に海氷で覆われる状況下では、通常快晴日に予測される値の2倍近くにも達した。
3. また、1日積算散乱日射量は雲量と共に増加する傾向を示し、特に海氷量が大きいほどその傾向は顕著である。
4. 海氷量と1日積算全天日射量との関係は、いずれの旬においても全天日射量は海氷量と共に増加する傾向にあり、海氷面―雲底面間での反射日射の効果が考えられた。