共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

オホーツク海域環境情報収集システムの開発
研究代表者/所属 静岡大工学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 福田明

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

長澤正氏 沼津高専 助教授

2

椋本介士 静岡大工学部 技官

3

白澤邦男 北大低温研

研究目的  本研究の目的は,オホーツク海域における各種気象観測データを収集する通信システムをMBCによる構築することの可能性とその性能を探ること,及びGPSデータロガーによる流氷の移動経路解析手法を検討することである.本共同研究グループではこれまでに,MBC機器を用いたサロマ湖から紋別への見通し内無線通信による長期自動気象データ伝送実験,浜松-紋別間のMBCデータ伝送実験などを通してMBCシステムの性能を検討しており,本年度は是非これを実現したい.また,GPSデータロガーを用いて海洋実験を行うとともに,流氷などへの応用のために設計変更すべき点(メモリー容量,バッテリ容量,パッケージなど)について検討する.
  
研究内容・成果  MBCに関しては,本年度は代表者らが南極大陸で行っているMBC実験の結果を踏まえて,同様なシステムのオホーツク海域での展開の可能性を検討した.
 また,2003年1月には,IPS/ADCPのガリンコ号による紋別沖への設置に際して,代表者らが開発したGPSデータロガーの最新試作機BGDL-II+による航跡記録実験を行い,良好な結果を得た.すなわち,同号の甲板手摺に設置した2台のロガーは5分おきのすべての位置測定に成功し,正確な航跡とIPS/ADCPの投入位置を記録した.
 さらに,2003年3月には,巡視船そうやによる氷海実験の一環として行われたARGOSブイ2基の漂流実験に際して,各ブイにBGDL-II+を各2台設置し,ARGOSとBGDLの位置測定成功率・精度などの比較実験を行った.ブイは2月7日に枝幸沖で流氷上に設置され,1基は2月13日にサロマ湖沖で回収された.この間,BGDLによる測定はすべて成功していた(2台は2時間間隔で測定するように設定されたが開始時間を1時間ずらしたので,併せて1時間間隔の位置測定となる).一方,ARGOSは可能な限り多数回位置測定を行うように設定されていたが,測定成功間隔には大きなバラツキがあり,最大3時間半ほどの欠測があった.測定された位置の精度にも格段の差があり,BGDLを用いるとARGOSでは不可能な流氷の細かい動きまで鮮明に表示できることが実証された.すなわち,BGDLによれば近接した複数の流氷相互の動きまで観察できることになる.もう一方のブイは回収の難しいウルップ島沖方面へ漂流し,未だ回収されていない.現在のBGDLの欠点は回収しないとデータが得られないことで,その点ではARGOSが勝っている.今後は,BGDLに最低限の送信機能を付加し,回収しなくてもデータが取得できるようにしたい.