共同研究報告書提出

共同研究報告書

研究区分	一般研究
研究課題	係留型気球空中写真を利用した北方森林の地上部バイオマス量推定
研究代表者／所属	筑波大学社会工学系
研究代表者／職名	助教授
研究代表者／氏名	吉野邦彦

研究分担者／氏名／所属／職名
	氏　　名	所　　属	職　　名
01	川辺　みどり	筑波大学社会工学系	講師
02	石田　朋靖	宇都宮大学農学部	教授
03	長野　敏英	東京農業大学国際食料情報学部	教授
04	福村　一成	宇都宮大学農学部	講師
05	石井　敦	三重大学生物資源学部	助手
06	塩沢　昌	東京大学大学院農学生命科学研究科	助教授
07	串田　圭司	北海道大学低温科学研究所	助手
08	福田　正巳	北海道大学低温科学研究所	教授
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研究目的	本研究では北方森林上空からの係留型気球搭載カメラによる空中写真撮影された写真を用いて、森林内の植物生態学的情報を抽出するための技術的問題点を整理し、空中写真の森林生態学的応用方法を確立することを目的とする。そのために、以下の3点について具体的に現地調査・観測を行い、係留気球利用による北方森林の生態学的研究への応用方法の可能性を検討する。　1）起伏地形地の撮影可能性と地表面観測の容易さの検討　2）林内の層構造に関する検討　3）林床植生の色調の違いによる判読可能性の検討

研究内容・成果	本研究の研究組織の構成員である吉野、石田、長野、串田は、従来より熱帯地域の熱帯湿地林において、係留型気球にスチルカメラを搭載し、熱帯林上空より、林冠の空中写真を行い、デジタル写真解析手法を駆使し、熱帯林内の地上部バイオマス量を推定してきた（「係留型バルーンからの空中写真を用いた熱帯泥炭湿地林の地上部バイオマス量推定」、写真測量とリモートセンシング、39巻6号、2000年）。この研究成果を踏まえると、地上調査が困難で、かなり広い範囲の熱帯林の地上部バイオマス量推定に、係留型気球から撮影する空中写真解析が利用できることが明らかにされた。この手法は、現地で数点の対空標識となる地上基準点が設置でき、係留型の気球を飛ばして空中写真が撮影できれば、北方森林でも応用できると考えられる。特に、カラマツ林は熱帯林と異なり、多くの場合、林床まで空中写真に撮影することが可能であることが期待でき、林冠の高さばかりでなく、林床の状況、樹冠構造などの森林生態学的な情報も写真として記録しておくことが可能だと思われる。がしかし、現地調査に基づいた考察が必要と考えられた。　そこで、現地調査を行い、上記の研究目的に沿う検討を行った。　現地調査の結果、研究目的の1）、2）については、夏期と冬期に撮影した写真を利用することにより、地表面の状況ならびに林冠の状況を記録することが可能であり、林内の層構造も樹高に比べると単純であり、十分適用させる可能性があることが判明した。また、研究目的3）の林床植生の色調の違いについては、植生サンプル（ササ、ヒメシダ、コヌカグサ）を採取し、その個葉の可視近赤外域における分光透過率、分光反射率、分光吸収率を測定した。　一方、空中写真の解析問題として、以下の2点が懸念されることが、判明した。 ① 簡易で少労力の地上測量方法を開発が必要：我が国の場合、斜面林も多く分布し、急斜面では、対空標識の地上測量方法に労力や困難が生じることが予想され、簡易な測量方法を開発することが必要と考えられる。 ② 斜面林の葉面積指数の算出方法の改良：一般に平地林での葉面積指数の算出には、魚眼レンズカメラによる林冠写真から、専用ソフトウェアーを用いて算出されるが、斜面林での適用性に疑問が生じる。斜面林の葉面積指数の算出方法の改良が必要であろう。