共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

フィンランドにおける20世紀の気温変化・変動について
研究代表者/所属 法政大学経済学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 田淵洋

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

01

白澤邦男  北大低温研  助教授 
02 小沢和浩  法政大学経済学部  教授 
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研究目的  高緯度地帯における地球温暖化の実態を明らかにするのが本研究の目的である。研究代表者は、1986年以来、フィンランドの地球温暖化の実態を気候学的、地形学的に明らかにした。共同研究者の白澤邦男は、ボスニア湾において海氷の年々変動の調査を実施した。また、小沢和浩は絵画に残された古気候を読み取り、古気候の復元を行った。
 高緯度地帯の気候変化・変動に関する研究はあまり多くない。そこで実態調査が重要である。高緯度地帯の中でも山地に比較して、低地における海水の研究は多くない。
 これらの研究では、高緯度地帯の気候変化・変動の実態が明らかになりつつある。
  
研究内容・成果  今年度は今後の研究資料として不可欠な、「Ice Footに関する文献と図表案」を作成した。
これは日本でIce Footがほとんど知られていない現状を考慮したものである。寒冷地の海岸では、気温が-10℃以下になると、汀線では波浪が凍結し、氷からなるマウンドが汀線に平行して形成される。この微地形がIce Footである。この現象は、日本ではオホーツクの海岸に限って見られるものであり、オホーツクは北半球でのIce Footの南限にあたっている。この現象は周氷河現象のひとつである。また、Ice Footそのものは、形成期間のごく短い周氷河地形である。
 著者が継続している野外観察によれば、オホーツク海沿岸でのIce Footの形成は12月に始まり、4月に終わる。その最盛期は、1月から2月である。Ice Footの形成には、海氷(流氷)の南下の時期が大きく関わっており、海氷が南下・接岸を始める時期が遅い年には、規模の大きいIce Footが形成されることが多い。一方、海氷(流氷)の南下・接岸が早い年には、規模の大きいIce Footは、あまり形成されない。
 最近、オホーツク海でも地球温暖化に伴い、海氷(流氷)の分布規模が小さくなり、流氷初日も以前に比較して遅くなるだろうといわれ、いろいろな手法で検証されている。しかし、Ice Footがはたして、オホーツク海岸の温暖化を知るのに有効な指標であるか、十分な注意が払われていない。そこで著者は研究の手始めに、まずIce Footに関する文献を収集した。
 Ice Footに関する文献には、他の文献に比較して、多くの写真が掲載されている。これはIce Footの形成・成長・衰退の過程が大変短いために、この過程を記録するためであろう。
オホーツク海岸におけるIce Footの調査は、今まで主に砂質海岸で行われてきた。しかしノルウェーのスピッツヘルゲンの例に習って、今後オホーツク海岸の岩石海岸においても、冬季の地形形成過程を明らかにするためにはIce Footの調査を行う必要がある。
 そこで本研究では、Ice Footの衰退過程を明らかにするために、3月末に網走と紋別において野外調査を実施した。野外調査では衰退して行くIce Footの観察し、写真に記録した。さらに数地点でIce Footを形成する砂粒を採集した。今後、砂粒の分析においてはSEMおよびその他の手法を用いる予定である。