共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
航空機観測によるオホーツク海の海氷ビデオ画像の解析 |
研究代表者/所属 | 金沢大学工学部 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 村本健一郎 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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藤吉康志 | 北海道大学低温科学研究所 | 教授 |
02 | 久保守 | 金沢大学工学部 | 助手 |
03 | 古川政弘 | 金沢大学工学部 | 技官 |
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研究目的 | 北海道大学低温科学研究所の戦略的基礎研究「オホーツク海氷の実態と気候システムにおける役割の解明」(研究代表者:若土正暁)の一環として,2000年2月にロシアの航空機を用いた大気観測が行われた.この観測は,冬季の寒気吹き出し時の海氷域から海洋上にかけての大気−海洋相互作用を明らかにするために行われ,その際に海氷の状況がビデオ撮影された. 本研究の目的は,このビデオ画像を解析し海氷を定量化することである.大気−海洋−海氷の相互作用を明らかにするには,海氷の定量化が重要な課題である. |
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研究内容・成果 | 航空機から撮影されたビデオ画像を解析し,海氷を定量化するには,まず,画像から海氷を検出する必要がある.しかし,画像によって海氷の輝度値にばらつきがあり,単純な2値化処理では検出できない.そこで,海氷を検出するための画像解析アルゴリズムを開発し,海氷の自動分類を行った.海氷には面積,厚さなどが異なる様々な状況のものが存在するが,大気や海洋への影響を考えて,本研究では海氷を3種類に分類した.まず厚い氷と薄い氷に分類した.輝度値に閾値を設けることによって開水面とこれらの海氷を分類することが可能である.しかし,この分類では細かい氷が密集している箇所(以下,砕氷部分)に対する処理が難しく,これを別の種類として分類した.分類は画像中に小領域を設定し,小領域ごとに行った.分類の際に使用する特徴量は,この小領域の輝度平均値,分散値,フラクタル次元である.輝度平均値は開水面,厚い氷,薄い氷を分類するのに有効である.ただし輝度分散値が高い場合は,フラクタル次元を使って,砕氷部分かどうかを判定する.フラクタル次元はテクスチャ特徴量の一種で,画像の模様の複雑さを表す特徴量であり,砕氷部分を判定するのに有効である. 分類処理は,画像中の小領域を走査しながら次々と行われるが,この小領域の箇所が海氷に適当にあてはまらないと間違った分類結果となる.そこで,処理する画像中の領域を可変とした.最初は小領域を大きく設定し,いずれに分類するのも難しいと判断した場合に,小領域の大きさを縮小し,再度,特徴量を算出し分類を行う.これによって様々な形状の海氷あるいは海氷間の境界付近の分類が可能となった. 海氷の教師分類図を手動で作成し,分類アルゴリズムを評価した.大きい海氷の占める割合が大きい画像では,開水面と3種類の海氷域の分類結果で70%以上が教師分類図と一致した.大小の海氷や海氷間の境界付近の結果も良好であった.しかし,ほとんどが砕氷部分である画像では教師分類図と一致した領域が55%と低い結果であった.このような特徴の画像に対してはアルゴリズムの改良が必要である.細かい海氷が集中している場所以外では良好な分類結果が得られた. オホーツク海氷の実態と気候システムにおける役割の解明に本研究の成果が活用されることを期待する. |
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