共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
極限環境下にあるバイオマットの研究:生命,地球表層環境の起源と進化 |
研究代表者/所属 | 北大低温研 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 香内晃 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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川上紳一 | 岐阜大学教育学部 | 助教授 |
02 | 渡部重十 | 北海道大学大学院理学研究科 | 教授 |
03 | 林祥介 | 北海道大学大学院理学研究科 | 教授 |
04 | 倉本圭 | 北海道大学大学院理学研究科 | 助教授 |
05 | 横畠徳太 | 北海道大学大学院理学研究科 | 博士課程2年 |
06 | 杉山耕一朗 | 北海道大学大学院理学研究科 | 博士課程1年 |
07 | 村田泰洋 | 北海道大学大学院理学研究科 | 修士課程1年 |
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研究目的 | 温泉域では高温還元環境に適したバクテリアが群生する. これはバイオマットと呼ばれ, 環境条件の類似性から先カンブリア代生態系のモデルととらえることが出来る. 本研究の目的は以下の3つである. 1) 太古の地球環境のアナログとしてカムイワッカ湯の滝における温泉バイオマットを調査し,その分布と生態を明らかにする. 2) 地球科学および微生物学分野の研究者が集まって研究会を開催し, 生命と地球表層環境の共進化に関して今後の課題を明らかにする. 3) 研究会の模様をビデオに録画しインターネット上で流し, 成果を広く公開する. |
研究内容・成果 | 1. 温泉バイオマット調査 2001 年 9 月 14 日, 北海道斜里町カムイワッカ湯の滝に形成されているバイオマットの調査を行った. 天気は晴れ, 調査隊は北大, 岐阜大, 聖マリアンナ大, 東大の教官, PD, 学生の 19 人で構成された. 前日までの大雨で河川の水量が増加していたものの, 調査は無事に行われた. 温泉バイオマットは緑色で, 硫黄性の温泉が流れ日射の当たる斜面に分布していた(Fig. 1). 温泉の水質は pH 1.6 程度であった. 顕微鏡写真 (Fig 2, 3) から, 球状および棒状の微生物 (イデユコゴメ) にはクロロフィルと考えられる緑色の部分が存在することが分かる. これより, バイオマットは強酸環境下でも日射を受け光合成を行っていると考えられる. 2. 生命と地球表層環境の進化に関する議論 2001 年 9 月 11 日から 14 日まで, 調査を行った北海道斜里町にて, 生命および地球史をテーマとする研究会を開催した. 研究会では以下の話題提供が行われた. (1) 生命および地球史概観 [川上紳一(岐阜大)] (2) 微生物学入門 [山本 啓之(聖マリアンナ大)] (3) 光合成生物への進化 [山本, 川上] (4) 原生代前期の酸素増大 [川上] (5) 原生代後期の全球凍結 [川上] (6) 南極コアの気候変動 [亀田貴雄(北見工大)] それぞれ話題につき 4 〜 5 時間程度の時間をとり, 生物の進化を研究する者と惑星の起源や表層環境を研究する者が活発な議論を行った. この研究会で明らかになった重要な点は, 地球環境が大きく変化したイベント(全球凍結や酸素汚染事件など)の解明には, 微生物の進化と炭素および硫黄などの物質循環を総合的に理解する必要があるということである. 今後は上記の素過程を理解するとともに, それらの相互作用についての知見を深めていく必要がある. 3. 動画による研究成果の公開 研究会の様子をビデオで撮影し, 講演資料とともにネットワーク上から閲覧できるように整備した(http://www.sinra.jp/arch.html). 撮影は DV カメラ, 複数本のマイクと録音レベル調節用のミキサーを用いた. 編集では講演者が講演資料のどの部分を解説しているのかが明確になるよう工夫した. これにより, 多くの人が研究会の様子を見て, 我々が得た知見を共有できることが期待される. |