共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
発熱植物の熱産生メカニズムに関する研究 |
研究代表者/所属 | 岩手大農寒冷バイオ |
研究代表者/職名 | 助教授 |
研究代表者/氏名 | 伊藤菊一 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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竹澤 大輔 | 北大低温研 | 助手 |
02 | 恩田 義彦 | 岩手大農寒冷バイオ | 大学院生 |
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研究目的 | 早春に花を咲かせるザゼンソウは植物界では珍しい発熱植物である。これまでにハスやヒトデカズラなど数種の発熱植物が知られているものの、低温環境で発熱する植物はザゼンソウ以外には報告がない。本研究においては、ザゼンソウの発熱現象に関わる知見を得るため、発熱部位である肉穂花序の温度変化および発熱組織の特徴などを解析するとともに、低温がザゼンソウの発熱に及ぼす影響などについても考察することを目的とした。 |
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研究内容・成果 | 群落地で自生しているザゼンソウを赤外線カメラにより解析したところ、その肉穂花序と呼ばれる部分のみが特異的に発熱していることが判明した。外気温が-5℃程度の低温環境においてもザゼンソウの肉穂花序の温度は発熱により26℃程度にまで上昇していた。興味深いことに、この発熱は肉穂花序がオス化するまで数日間持続することも判明した。さらに、肉穂花序の温度(体温)は周期的に振動していることが明らかになった。群落地における肉穂花序温度の変動をフーリエ変換により解析した結果、その周期は約1時間であることが判明した。また、人工気象室における体温変動を種々の条件を設定して詳細に解析したところ、肉穂花序における発熱振動は、気温の変化(気温低下あるいは上昇)により誘導されることが明らかになった。これらの知見は、ザゼンソウの肉穂花序が低温を含む外気温の変動を認識できることを示唆していると考えられた。 また、肉穂花序で特徴的な周期的発熱振動に関わる発熱関連遺伝子の発現をノーザン法により解析した。解析対象とした遺伝子は、ザゼンソウより単離された脱共役タンパク質(uncoupling protein: ucp)ファミリーをコードしている2種類の遺伝子(SfUCPaおよびSfUCPb)である。肉穂花序の体温振動過程のうち、体温低下時および体温上昇時に試料を採取し、全RNAを調製し、SfUCPaおよびSfUCPb mRNAの蓄積量を解析した。その結果、両遺伝子ともそのmRNAの発現量に大きな差が認められないことが判明し、2種類のucp関連遺伝子の発現はmRNAの転写・蓄積により調節されている可能性が低いことが示唆された。 さらに、これらの知見については、北大低温件を訪問して種々の議論を行い、今後の実験方向などに関する有意義な情報交換を行った。 |
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