共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
新規細胞成長因子の探索 |
研究代表者/所属 | 北大低温研 |
研究代表者/職名 | 助教授 |
研究代表者/氏名 | 早川洋一 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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大西 敦 | 理化学研究所 | 特別研究員 |
02 | 河野 敬一 | 富山医科薬科大薬学部 | 教授 |
03 | 松田 祐介 | 関西学院大理学部 | 講師 |
04 | 平岡 毅 | 東京農工大農学部 | 助手 |
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研究目的 | 昆虫は、生態学的に地球上で最も繁栄している動物である。 多くの要因が考えられるが、その一つに臨機応変な発育調節が挙げられる。 すなわち、繁殖に適さない時期を休眠状態で乗り切り、その時期が終わると一気に成長し生殖活動を始める。 この時期の成長速度は、他の動物に類を見ない早さと言える。 しかしながら、これまで昆虫生体内から細胞成長因子はほとんど見つかっていなかった。 本研究で取り上げるGBPは、昆虫で報告されたペプチド性成長因子第一号である。 本研究は、GBPの基礎研究と共に、GBP以外の新規成長因子の同定を目指す。 |
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研究内容・成果 | 鱗翅目昆虫では幼虫期から蛹期にかけて中枢神経組織をはじめ他の各種組織においても形態的に著しい成長が観察される。本研究では、特に、この幼虫ー蛹時期に焦点を当て、アワヨトウ体内に存在するであろう細胞成長因子をできるだけ数多く同定すること目指した。 幼虫ー蛹期に、特にその組織細胞の増大が観察される脳、表皮、精巣、また、各種組織の成長に重要な役割を担っていると予想される血液、脂肪体からの細胞増殖因子の同定を試みた。その結果、脳、脂肪体、表皮と血液中に新規と思われる細胞成長因子を見い出した。以下に、各々について説明する。 <脳> 予備実験の結果、アワヨトウ幼虫では終齢脱皮後4日から6日目にかけて特に細胞増殖が盛んになることが分かった。そこで、この時期の脳からペプチド分画を調製し、細胞増殖因子の単離を試みた。3段階の逆相系カラムクロマトグラフィーを経て新規細胞成長因子の精製に成功した。精製した因子の分子量は約0.9kDaであり、そのN末端アミノ酸配列も18残基決定することができた)。フローサイトメターによってこの成長因子のSf9細胞に対する細胞周期への影響を調べた結果、コントロールに比べDNA合成期の有意に細胞が増加していることが分かった。 その成長がほぼ最大に達する蛹化直後の脳の粗抽出液中には、顕著な細胞増殖抑制効果が確認できた。これは、成長因子とは逆に培養細胞の増殖を抑える因子によるものであることが分かった。精製途中にあるこの増殖抑制因子は、分子量が約20kDa前後のタンパク質であると考えられる。 <脂肪体> 脂肪体はGBPの主要合成組織であるため、GBPあるいはGBP前駆体の混在に注意しつつ予備実験を繰り返した。その結果、GBPとは明らかに異なる低分子量の細胞成長因子の存在が確認でき現在精製を進めている。分子量は3-4kDaと考えられる。 <表皮> 表皮の真皮細胞は幼虫期に細胞増殖することが知られているが、これまで詳しく解析がなされたことはない。今回、終齢幼虫表皮から表皮真皮細胞増殖因子活性が確認することができた。確認できた因子は分子量が21kDaの糖タンパク質であり、培養系において表皮真皮細胞の増殖促進活性も確認できた。 <血液> 予備実験によって、アワヨトウ幼虫血液にはGBPとは異なる低分子量の細胞成長因子の存在が確認された。ゲルろ過、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによって部分精製できたペプチドの分子量は約3kDaと見積もられた。このペプチドは、GBPよりも細胞特異性が高く、昆虫培養細胞Sf9に対するよりはHigh5細胞に対して強い細胞増殖活性を示すことが確認された。 |
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