共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

衛星・レーダーによるサハリン-北海道にそって南下する海氷分布及び移動解析
研究代表者/所属 北見工業大学土木開発工学科
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 榎本浩之

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

01

長 幸平  東海大学情報技術センター  助教授 
02 白澤邦男  北大低温研  助教授 
03 青田昌秋  北大低温研  教授 
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研究目的 北海道南部の海氷分布は変動が大きく、サハリン沿岸部を南下する流氷量とサハリン通過後の北海道沿岸部への接近あるいは東方への拡散の追跡が重要である。この海氷ルートの解析は、サハリン沿岸部での油流出の防災の観点からも重要な問題である。気候一海氷研究、防災の両観点から解析を行なう。
図1 NOAAによる海氷分布(2001年12月25日)。海底地形合成表示。 図2 SSM/Iによる1993-2001年の平均海氷流線図。 図3 流氷レーダーによる3時間インターバルでの海氷移動解析。
研究内容・成果 従来行なわれてきた北大流氷レーダーと、近年可能になりつつある衛星による海氷移動解析の結合・補完の検討、及びオホーツク海南部の海氷渦と海氷南下パターンの関連をさぐり、予測の可能性・間題点を明らかにする。2001年は例年より早い12月27日頃には海氷が北海道に接岸した。その後は、接岸、離岸を繰り返した。積雪・海氷を表示するように調整したカラー化によって雲との違いをわかりやすくすることにより、北海道に接岸している様子を観測することができた。
サハリン沖に沿って分布して海氷が細い帯状に南下して北海道に接岸していることがわかる(図1)。サハリン南部で海氷分布が蛇行しているが、これは海底地形に沿った流れのためであることがよりわかる。この海底斜面は知床半島まで達しており、海氷南端もここに到達している。
 このような早い接岸にもかかわらず、北海道沿岸部には海氷勢力は強くなかったことが、この後の衛星観測及び流氷レーダーにおける観測から記録された。海氷動態は観測するスケールにより多様な特徴を見せるが、衛星観測から得られた全オホーツクの平均海氷流線図(図2)からはサハリン東岸に沿った集中した海氷移動が観測される。また、サハリン東岸でも南部では海氷渦の繰り返し生成消滅が観測された。これらの空間スケールは100km程度のものであり、時間スケールも平均場、数週間などである。100km以下のスケールで、日ごと、時間ごとに変化する海氷動態については、北海道沿岸部について流氷レーダーによって観測された(図3)。2000/2001年のように、オホーツク海全域を埋めるような海氷勢力の強いときでも、北海道沿岸部には開水面が現れるなど、沿岸近くの海氷動態は複雑であり、現在使用できる衛星画像では追跡しきれない部分があるため、流氷レーダーデータからの沿岸海氷動態情報の抽出が必要になる。


図1 NOAAによる海氷分布(2001年12月25日)。海底地形合成表示。 図2 SSM/Iによる1993-2001年の平均海氷流線図。 図3 流氷レーダーによる3時間インターバルでの海氷移動解析。