降雪の酸素安定同位体比は緯度方向に変化するとともに、季節によっても変化する。しかしながら、南極海のうえでは現場観測の困難さから、実際のデータはほとんど得られていない。観測船上や沿岸基地で採取された降水・降雪の資料は、断片的で時空間的に限られたデータではあるものの、現実の降水の酸素安定同位体比の貴重な情報を与えてくれる。

大西洋区からインド洋区にかけて収集された夏と冬の試料の分析から、降水の酸素同位体比の緯度変化とその季節的な変化の様子が明らかになってきた。

中村佳代・青木茂・豊田威信・青山雄一:
南大洋における降雪の酸素安定同位体比の緯度分布と季節変化。
南極資料、54(2)、190-202、2010．